理化学研究所の元研究員、小保方晴子さん(32)が1月28日に講談社より手記「あの日」を出版しました。
“リケジョの星”と呼ばれ、そのルックスからファッションやライフスタイルを取りざたされたと思えば一転、論文ねつ造に釈明会見と大々的なバッシングを受けた後、約2年程公の場から姿を消して今に至ります。そんな彼女が今回関係者へ手記という形で反撃に出たとあって、注目度が高まっています。
筆者は理系の専門家ではありませんので「STAP細胞の存在」「真犯人は誰なのか」という問題に迫る事はできません。
しかし彼女が過剰すぎるバッシングにあった経緯には、彼女のキャラクターや対応方法にも原因があったように思います。今日はそんな小保方晴子さんが一般人からも過剰にバッシングを受けてしまった要素を考え直してみたいと思います。
■研究者より女子という側面が光りすぎた
前提として、彼女の行っていた研究が正しかったのか、ねつ造があったのかはこの場での言及はできません。
ただこの一件で、彼女が各種専門家以外からのバッシングを大々的に受けた理由には、“リケジョ”“ムーミン”“割烹着”“ヴィヴィアンウエストウッド”など、研究者としての実績よりも、女性的な側面がクローズアップされすぎていたことにあるように思います。
マスコミは当然一般視聴者に親しみを持ってもらうためにそれらを報道するわけですが、いざねつ造疑惑が起きた瞬間、親しみが“薄っぺらい”という解釈に、一般人から見ても変わった可能性は高いです。
それを過去の実績や言動でカバーできればよいのですが、学生時代の博士過程論文にも不備があったとあって、説得力に一層欠ける存在となってしまったのかもしれません。
■「正しい」と主張するのに、「正しさ」を正しく証明できなかった
そして彼女は今回の手記で、自身の半生から事の顛末までを淡々と細やかに記しています。自分のいたらさなさについても触れているのですが、「私の行いは正しかった」と伝えたい気持ちが文章のはしばしから伝わってきます。しかし彼女は一貫して自分および自身の研究は正しいと主張する一方で、正しい順序で自分の正しさを証明できていないのが、関係者以外にも明白です。
今回の手記発売においても、推定印税は700万円と言われており、真実の主張と謳いながらも金のニオイをどこか感じさせる部分に、真実のわからない外野はやはりマイナスの印象を抱いてしまうのかもしれません。
■謝罪の前に来る後悔の念が彼女のスタンス?
今回の手記では、まえがき部分で一連の騒動における謝罪、そしてサポートしてくれた多くの方への感謝の文面が並んでいます。
しかし一文目は「あの日に戻れるよ、と神様に言われたら、私はこれまでの人生のどの日を選ぶだろうか」と始まり、謝罪より前に、後悔の念がうかがえる文面となっています。
そして最後の章は、早稲田大学での博士号取消の経緯が細かく記載されており、その後「不思議と今でも実験をしている夢を見る。心はもちろんウキウキしていて、(中略)夢から覚めた時、思い描いていた研究はもうできないんだなと思うと、胸が詰まり、涙が勝手にこみ上げてくる」と研究者として道を閉ざされた事に対して、一貫して後悔し、悲しんでいる様子で本書は締められています。
彼女がこの手記をどういう気持ちで出版するに至ったかは、外野には知る由もありません。
しかし後悔と研究への情熱をうかがわせて手記を締めるということは、この手記は関係者への反撃などではなく、研究者としての小さな再起の可能性を探るために、出版を決めたのかもしれない……そんな風にも思えるのでした。
(文・おおしまりえ)
雑食系恋愛ジャーナリスト・イラストレーター。10代より水商売やプロ雀士など人気商売に身を投じ、のべ1万人の男性を接客。鋭い観察眼と、男女のコミュニケーションの違いを研究し、恋愛コラムを執筆中。
ブログ:http://oshimarie.com