樹木希林さん(享年75)の名言集「一切なりゆき~樹木希林のことば~」の累計発行部数が100万部を突破したと、出版元の文芸春秋が3月27日に発表した。
「一切なりゆき」は生前のインタビューから、希林さんの154に及ぶ名言をまとめたもの。昨年12月の発売当初から話題を呼んでいた同書だが、発売3カ月でミリオンセラーとなった。
本誌「女性自身」から採用された言葉も同書には収録されているが、名言はまだまだある。そこで今回は本誌が過去に取材した中から、希林さんの“意外な持論”を紹介したい。まずは、娘・也哉子(43)と本木雅弘(53)が結婚した当時のインタビューから。
■「今の風潮として、結婚式は挙げなくていい、籍はどうだっていいとなってきて、ひょっとして私はこの時代の先頭を走っていたような気がするんですよ。(中略)だから結婚話が出たとき、ふたりには日本人が昔は当たり前に持っていた“家を繋いでいく”ということからまず始めてみて、その後どうするかは自分たちで選び取ってほしいと思ったんですね」(95年7月18日号)
希林さんと内田裕也さん(享年79)は73年10月に結婚。裕也さんのDV騒動や女性問題が明るみになるも、希林さんは“別居しつつも離婚しない”という選択を取ってきた。
その夫婦関係は新しい家族像として注目されてきた。だが、娘夫婦には“家を繋いでいく”ということを経験して欲しいと考えていたのだ。
その言葉は、身をもって“家族とは繋いでいくこと”だと学んだ希林さんだからこそのメッセージだった――。
続いての言葉は、裕也さんから学んだ“父親観”についてだ。
■「お父さんがいての子供だから『お父さん』ということをまず大事にする。するとね、お父さんが子供に対して見栄を張るんですよ、いい意味の。子供には自分のいい所をきちっと見せよう、いいものを伝えようとするんですね」(95年7月25日号)
裕也さんは、破天荒な父親だった。しかし希林さんは家族を大事にするうえでも、“父を大事にする”ということを第一に考えていたというのだ。
「このたびの結婚で誰が一番真剣かと言ったら内田さんなんですよ(笑い)内田さんが微に入り細に入り、鯛の寸法から雨が降った時の蛇の目傘の発注から、それは名簿から段取りからすごいチェックなんですよ。そういうことでいいんだなと思いました。家長としての役目を果たすわ果たすわ。ただ、一方的だからときどきこちらが面食らうだけで」
本木夫妻の結婚に際してこう続けていた希林さん。彼女の“父親観”は、裕也さんにも影響を与えていたようだ――。
また希林さんは、親子3世代で暮らしていたこともあった。個性的な家族が同じ屋根の下に暮らすことは気苦労も多かったはず。そんななか、希林さんはこんな“教育論”を語っていた。
■「ホント、子供にとっても人間が多いほうがいいでしょう。親だけで育てるんじゃなく、違う世代が関わることが大切だと思うの。おじいちゃんがいて、おばあちゃんがいてというのは少なくなったでしょう」(01年9月25日号より)
娘夫婦と暮らし始めた希林さんは当時、本誌へこう語っていた。核家族化が進み、家族の形が変わっていく。そんななかでの“あらゆる世代が関わって子育てをしよう”という提言。このとき希林さんは「孫と一緒はくたびれます」とも語っていたが、その姿は嬉しそうだった――。
「一切なりゆき」はこの度17刷となったという。希林さんの言葉は、これからの世代にも受け継がれていくだろう。