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日本の音楽シーンを鮮やかに彩りながら、私たちを新しい時代へと力強く牽引し続ける稀代のアイドルグループ・嵐。これまでに彼ら5人が築いてきた功績を振り返ってみれば、その破格のスケール感が伝わるはずだ。

 

■発表した楽曲:全409曲
■CD総売上枚数:4,126万枚
■コンサート:全520公演
■コンサート総動員数:1,400万人以上
■シングル首位獲得53作:日本歴代1位
■DVD首位獲得20作:日本歴代1位

 

今年の12月31日をもって活動休止することを発表している嵐の5人。しかし、この数カ月、デジタル配信やSNSの解禁をはじめとする数々の野心的な施策、そして5人のあまりにもアグレッシブな姿勢を見ていると、その予定をつい忘れてしまいそうになる。彼らが活動休止発表以降に始めた新しい取り組みは、大きく4つに分けられる。

 

【1】楽曲のデジタル配信

 

昨年の秋から年末にかけて、過去に発表された全シングル曲、新曲『Turning Up』、『A-RA-SHI:Reborn』のデジタル配信が始まった。

 

そして2月7日にはついに、これまでに嵐がリリースしたアルバム16作品・256曲も解禁される。その中には、現在は廃盤となっている1stアルバム『ARASHI No.1 ~嵐は嵐を呼ぶ~』までも含まれている。あまりにも豪快で痛快な試みだと思う。

 

今回の解禁に伴い、久しぶりに嵐のアルバム曲を聴き返した人も多いのではないだろうか。TwitterやInstagramを見ていると、ファンの数だけ、その人にとっての「私の人生を彩る嵐の1曲」があることが分かる。

 

そして、嵐のこれまでの作品を聴き直して改めて感じたのは、こんなにもでっかい「愛」と「希望」を、約20年にわたって歌い続けているグループは、広い世界を見渡しても、長い歴史を振り返っても、きっと嵐だけだということだ。

 

嵐の楽曲は、昨日よりも今日を、今日よりも明日を、もっと輝かしい1日にするために、私たちを導き続けてきてくれた。J-POPの歴史を美しく彩り、その眩い可能性を信じさせてくれた。

 

【2】SNSコミュニケーション

 

嵐は、2019年11月3日、Twitter、Instagramをはじめとする5つのSNSアカウントを開設。

 

Instagramにおける最初の投稿には《みんなと今まで以上に身近に、より早くつながれるように! 僕らについてきてね!!!!!》というコメントが添えられていた。ストーリーのアップを含め、投稿のペースの速さには驚かされる。

 

そしてTwitterでは、ステージ舞台裏のオフショットなどを公開するだけでなく、《この写真に、タイトルつけて!(Caption this!)》といったファン参加型の企画も行われている(1月30日の投稿より)。

 

メンバーたちとの交流が、これほどまでにラフな形で実現するなんて、少し前までは想像もできなかった。長年のファンであれば、新鮮な驚きと深い感慨を抱いているはずだ。

 

私たちが嵐の5人に惹かれる理由は、もちろん、彼らの楽曲やパフォーマンスの素晴らしさだけではない。もはや、テレビで彼らの活躍を見ない日はないが、私たちは日々の生活の中で、一人一人のメンバーの人柄そのものに、強く惹きつけられるのだ。

 

聡明でいて、誰よりも謙虚、冷静さの中にも親近感とユーモアを感じさせる5人の佇まいは、やはりどこまでも信頼できる。

 

だからこそ、そんな5人が、よりダイレクトな形でコミュニケーションできるSNSの世界に乗り出してくれたことは、ファンとしてとても嬉しい。

 

【3】Netflixのドキュメンタリー番組

 

2019年12月31日、Netflixで「ARASHI’s Diary -Voyage-」の配信がスタートした。嵐の活動休止まで、あと1年。5人は何を見つめ、どこへ向かうのか。それぞれのメンバーの本音をもとに、彼らの「今」を記録するドキュメンタリー番組である。

 

5人の告白は、あまりにも赤裸々で、時に、ショッキングなほどに生々しいものだ。それでも、ありのままの心情を誠実に語るメンバーたちの姿からは、ファンへ寄せる絶対的な信頼を感じられる。逆に言えば、ファンを信じることができなければ、これほどまでにエッジィな企画は実現しなかっただろう。

 

これから配信される「#03」以降においても、それぞれのメンバーが、これまでに何を想いながら活動を続けてきたのか、本人の口から明かされるはずだ。しっかりと、最後まで、彼ら5人の言葉を追い続けていきたい。

 

【4】米津玄師が贈った新曲『カイト』

 

2019年12月31日、令和初となる『NHK紅白歌合戦』において、嵐は米津玄師(28)から贈られた楽曲『カイト』を初披露した。

 

広い空をかき分けながら遠くへと舞い行く『カイト』が、それでも、しっかりと糸で繋がっているように。次々と挑戦を続けながら新たな活躍のフィールドを切り開く嵐には、たしかに「帰る場所」がある。

 

活動休止中の間、その大切な場所を、ファンが守り続けることで、嵐の5人は、いつかきっと、変わらない笑顔のままで帰ってくることができるのだ。

 

米津玄師が贈り届けたこの曲は、そんな眩い願いが込められているように思う。そう、『カイト』という楽曲は、嵐の5人とファンの約束の歌なのだ。2020年、これから嵐の5人がこの楽曲を歌っていく光景を想像するだけで、思わず胸が熱くなる。

 

これらの施策は、単なる作品のプロモーションではないだろう。むしろ、ファンとの絆を育むための、新しい挑戦のように見える。今回の活動休止が、ファンにとって悲しい記憶とならないように。そして、一つでも多くの新しい思い出を一緒に作るために。今年いっぱいでの活動休止を決めたからこそ、嵐の5人は最後の最後まで全力で挑戦を続けてくれるのだろう。その姿勢が、一人のファンとして何よりも嬉しい。

 

活動休止まで、あと約10カ月。嵐の5人が出した結論を受け入れ、一つでも多くの思い出を作るための時間が、私たちには与えられている。日々後悔のないように。嵐の5人へ、最大限の感謝と敬意を伝え続けていきたい。

 

【PROFILE】

松本侃士(まつもと つよし)

編集者・ライター。1991年生まれ。慶應義塾大学卒業。2014年、音楽メディア企業ロッキング・オン・グループに新卒入社、編集・ライティング等を経験。2018年より、渋谷のITベンチャー企業にてメディア戦略を担当。「note」(@tsuyopongram_)にて、音楽や映画のコラム記事を毎日投稿中。

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