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誠実に、かつ切実に語りかけてくる真摯な言葉が胸を打つーー。コロナ禍で多くの人が報道を注視するなか、日本テレビ系の夕方のニュース番組『news every.』のメインキャスター・藤井貴彦アナ(48)に支持が集まっている。

 

「不用意に生活エリアを越えた移動をしないこと。これが誰かのふるさとを守ることにつながります」
「おうちにいる。人との距離を保つ。それだけで社会貢献になっています」
「ささくれだった言葉で自分自身を汚さないように。心でコロナウイルスに負けてはいけません」

 

こんなコメントとともに、連日、新型コロナウイルス感染拡大のニュースを報じているのだ。

 

「自らを“ディスタンスおじさん”と名乗り、“人との距離を保とう”と熱心に呼びかけています。思いやりにあふれ、ユーモアのある言葉選びに親近感を覚える視聴者は多いようです」(スポーツ紙記者)

 

インターネット上では“藤井コロナ語録”などと呼ばれ、

 

《今日の藤井語録、涙が出ました》
《勇気、出ました。頑張るぞ》
《心が温かくなりました》

 

と、SNSなどで盛んに引用され、拡散されている。

 

これまでは脚光を浴びるタイプではなかった。同期に羽鳥慎一アナ、指導した後輩に桝太一アナというスターアナウンサーがいるが、自身は派手な人気とは無縁。

 

オリコンが毎年発表している「好きな男性アナウンサーランキング」でも、桝アナは5年連続1位、羽鳥アナは3年連続で1位を獲得したが、藤井アナはランクインさえ一度もしていない。

 

「あまりにランクインしないので、番組内で『今年も入りませんでした』と自虐ネタにしているほどです(笑)」(前出・スポーツ紙記者)

 

そんなお茶目な面もあるようだが、「今のこの注目は藤井さんが、報道一本で地道に積み上げてきたことが評価された結果だと思います」とは日本テレビ関係者。

 

「藤井さんがもっとも優れているのは、対応力です。新型コロナに関するコメントは、事前の打ち合わせで決められるのではなく、藤井さんが番組を進行し、その日のニュースやVTRを見ながら、どんな言葉なら、視聴者によりわかりやすく伝わるかを瞬時に考えて発言しているのです」

 

人々の心を打つあの言葉の数々が“アドリブ”とは驚きだ。藤井アナは、東日本大震災の取材でもその真価を発揮している。

 

「藤井さんは当時もメインキャスターでしたが、上層部に直訴し、リポーターとして現地に赴いて、被災者取材を続けてきました。現地では、コメントを引き出すのは二の次で、常に配慮しながら被災者に寄り添い、カメラの回らないところでは、がれき撤去の手伝いなどを率先してやっていた。次第に被災者と信頼関係が築かれて、インタビューに応じてくださる方がたくさんいたんです。誰に対しても気遣いができる人格者。そんな人柄が、藤井語録には出ているんでしょう」(前出・日本テレビ関係者)

 

別のテレビ局関係者は、「とにかく謙虚で腰が低い人」と話す。

 

「日テレ本社が麹町にあった時代からの社員なのでふだんから自分を『おじさん』『麹町世代』と自虐しています。『ディスタンスおじさん』もその流れで出た言葉でしょう」

 

仕事の取り組み方もマジメ一徹。

 

「興奮状態だとかみやすくなるからと、仕事前は辛い食べ物は禁止。胃と脳の調子は連動するという考えで、放送2時間前から何も食べないというマイルールもあるようです」(前出・テレビ局関係者)

 

25年間仕事の日記をつけ続けていて、かんでしまった日は戒めのため、卓上カレンダーに印をつけているという。そんな努力が、あの“語録”を生んでいるようだ。

 

「女性自身」2020年6月9日号 掲載

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