■DVやモラハラの被害を感じたときにできること
以下、それぞれ説明していきます。
・当事者間での解決は困難と知る
まず被害に合われた方の多くは被害の度合いにもよりますが、当事者間での解決を目指そうとする人が多いです。
周りに知られたくないとか、自分がおかしいのではないかという気持ちが入り混じってのことかもしれません。しかしDVなどの問題はどうしても当事者意識があると、「している」「していない」の判断自体が曖昧になりがちです。当事者間で根本解決を図るのは非常に難しいと話す専門家も多いです。
そこでよくある次の手が、実家や義実家などの親を頼る方法です。第三者に相談するのは良い流れではあるものの、このときにポイントなのは“相談する相手が冷静に状況を見て、正しい判断をしてくれる存在であるか”という点です。
実家にモラハラ被害を相談したら「妻は夫に合わせるものよ」と母親に諭され、その通り我慢して被害が大きくなったという話も聞きます。逆に状況を冷静に判断せず、子どもに全力加勢する親もいるでしょう。
第三者や外部機関を頼ることは大切ですが、その相手は“冷静な第三者”である必要があるのです。
・早期に冷静で安全な話し合い(もしくは避難)の場を設ける
DVやモラハラなどの行為はクセになり、時間とともにエスカレートする傾向があります。だから被害に気づいたら早い段階で状況の改善に向かうためにも、話し合いや場合によっては避難といった選択も必要になります。
このとき感情的に話すと、結局はケンカになってしまって繰り返しになります。冷静さをお互いが持つためにも、“客観的に状況を見られる第三者が間に入ること”が非常に有効です。
・DVには「認知の歪み」があることを知る
DV加害者とはそもそも怒りや不満や悲しみといった感情を外に出す手段として、暴力を選択するようになってしまった人だと思っています。
またDV被害者側は相手から攻撃をされた際、「我慢する」ことや「自分が悪いと考える」などといった自罰的な対処パターンを身に着けている傾向もあります。
どちらも突き詰めれば、「認知の歪み」を抱えたことで起こしている行動といえます。
だから向き合ってパートナーのDVを改善させていきましょう、と筆者は言いたいのではありません。相手と向き合いたいか、離れて安全な自分の人生を歩むか。選択するのは当事者の自由です。
ただDVの問題と向き合うときにこうした心の構造について知っておくと、対処や判断もまた変わってくるかもしれません。
現在はDVについて相談できる窓口や団体も増えています。熊田さんは“警察に被害届を提出する”という選択を取ったわけですが、警察は事件(実際の被害)にならないと動きません。だから、対応としては最後の一手という印象があります。
これまで多くのことを我慢してきたであろう熊田さん。今後、彼女の口からどのような事実が語られるのか気になる部分です。
(文:おおしまりえ)