■「お笑いの出世コースに変化が生まれている」
こうした“中堅芸人離れ”が起きている背景について、お笑い評論家でもある江戸川大学の西条昇教授が解説する。
「第7世代など、次々と若い人が現れ、芸人自体が増えています。そこに、コロナの影響で大勢のロケがしにくい、“ひな壇”の人数が限られるなど、コロナ前よりも出演人数が絞られていることで、テレビの中の陣取り合戦が熾烈になっているんです。また、若者のテレビ離れに加え、YouTubeやNetflixなどの動画配信を見る層が増えており、テレビ全体の視聴率も落ちています。
制作費が減少するなかで、ギャラを削らざるをえない部分はあるでしょう。面白さが同じなら、安いほうを使うというのは今に始まったことではありませんが、不景気で一層シビアになったのでしょう」
そんな昨今、テレビを中心としてきた“お笑いの出世コース”にも変化が起きているという。
「今までは、若手芸人はまず深夜に冠番組を持ち、次は夕方やプライムタイムへ、最終的にはゴールデン進出というのが王道でした。しかし今は、ゴールデンに出ても先が見えない。キングコングの西野さん(亮廣・40)は『はねるのトびら』(フジテレビ系)でゴールデンに進出したものの番組が終了。そこで、“ひな壇芸人”を選ばず、絵本やオンラインサロン、YouTubeに活動を移して、そちらでブレークしました。また、江頭2:50さん(55)やヒロシさん(49)もテレビでは見なくなりましたが、YouTubeの登録者数は、江頭さんが236万人、ヒロシさんが110万人と、完全に“一発逆転”しました」(西条教授)
もはや、タレントにとって地上波レギュラー本数だけを競う時代ではないのかもしれない。
「さまぁ~ずも昨年からYouTubeを始めて、登録者数は約40万人。持ち味を生かして好きなことをやって成功しています。タカアンドトシも、北海道の番組の公式YouTubeチャンネルでダイジェスト版が配信されているので、他地域でも見られます。今後はテレビでの代表的な番組を軸に、それ以外でバランスよく活動する時代です」(西条教授)
地上波以外に活路を見いだし、再ブレークする中堅芸人がまた現れるかも!