■「現場の笑顔を演出」町田も“現場づくり”に貢献
いっぽう彼も、“現場づくり”に貢献していたようだ。今年3月、同作の本間かなみプロデューサーは本誌にこう語っていた。
「町田さんは、勝手にクールなイメージがあったのですが、気さくな方でした。さりげなく、みんなを引っ張ってくれるお兄さん。芝居だけではなく、さまざまなことに対してアイディアをくださって、作品を届けることへ思いを持っている、愛のある方だと感じました」
また風間太樹監督も「町田さんは落ち着いた佇まいなのに、ちょっと様子が可笑しい一面もあるんです。おどけたり、弾けるように笑っている姿が現場の笑顔を演出していました」と明かしていた。
現場を温かくしたのは、町田の人間性だけではない。もちろん俳優としても本領を発揮し、作品にいい影響を与えたようだ。原作者の豊田悠氏は、本誌で“俳優・町田啓太”をベタ褒めしていた。
「黒沢を演じる町田さんは以前別の作品で拝見していて、その時にコメディに振り切った時の思いきりのよさと、それでもブレない品の良さが素敵だなと思っていました。そんな期待を100倍くらい超えたお芝居に、毎回オンエアを見るたびに戦慄していました」
「コミカルな部分だけでなく、実際に町田さんが演じられてより強く感じたのは、黒沢の人間らしい葛藤や切なさでした。安達を見つめる愛情に満ちた目線や深く息を吐きだす体の動き、恋愛に苦しむ一人の男としての生々しさを全身で体現してくださって、何故こんなに黒沢を深く解釈出来るのか、作者ですが知りたいくらいでした」