「打ち切りの説明を受けた志の輔さんは『そうですか……』と淡々と応じていたそうです」(NHK関係者)
開始から26年、立川志の輔(67)がMCを務めるNHKの人気情報番組『ガッテン!』が、来年3月末で終了する方向で検討されていることがわかった。身近な健康の話題を科学的にわかりやすく検証する番組内容は、中高年に圧倒的人気を誇り、現在も平均世帯視聴率は10%以上ある。
『ガッテン!』は四半世紀以上続くNHKの名物番組だった。12月13日には笑福亭仁鶴さん(享年84)の司会でおなじみだった『生活笑百科』も、同じく来年3月で37年の歴史に幕を閉じることが明らかになった。名物番組の相次ぐ突然の終了には中高年視聴者を無視したNHKの“お家事情”があると言うのは別のNHK関係者。
「昨年、みずほフィナンシャルグループ会長を務めた前田晃伸氏がNHKの会長に就任してから、新番組や新企画の開発が急ピッチで進んでいます。’21年度の半年間の受信料収入は3千414億円で2年連続の減収。これが年々さらに減少すると経営陣はみています。
長期的に受信料を払ってくれる若い世代を掘り起こすために、バラエティでもドラマでも若年層をターゲットとした新番組作りが最重要課題だと考えているのです」
民放各局でも、去年から視聴者のターゲット層に変化が起きている、とメディア文化評論家の碓井広義氏は説明する。
「テレビ界全体で視聴者の減少が続いており、一昨年、テレビ広告がネット広告に抜かれてしまったという背景が現実にあります。日本テレビ、TBS、フジテレビは現在、49歳までを視聴者の“コアターゲット”としています。テレビ朝日は59歳までと多少中高年層に優しいですが、NHKは民放に追随するのではなく、0歳から100歳までが見られる多様性を大事にしてほしい。それこそ“NHKらしさ”だと思います」
今年9月には『パネルクイズアタック25』(テレビ朝日系)が46年の歴史に終止符を打った。27年続く『上沼恵美子のおしゃべりクッキング』(テレビ朝日系)も来年3月で終了する。テレビコラムニストの桧山珠美氏は、切り捨てられる多くの中高年視聴者の怒りをこう代弁する。
「テレビが長年の顧客である中高年向けの番組を次々と終わらせていることに大きな疑問を感じます。特に公共放送のNHKは受信料をきちんと払っている中高年が楽しめる番組を提供する義務がある。そもそも若い世代はYouTubeやNetflixなどの配信やSNSが主流で、すでにテレビの優先順位が低いのは明らか。
コロナ禍でもあり、外出もままならない高齢者のなかには、テレビに支えられている人が大勢います。そういう人たちに向けて番組を作り続けるというのも、テレビの大事な役割だと思うのです」
テレビがまだ生活の一部を担っている中高年にとって、NHKは最後の“命綱”なのだが……。