■バラエティ番組なのか、歌謡番組なのか
そしてもう1つの違和感は、番組の構成がバラエティ番組なのか歌謡番組なのか分かりにくかった点にあります。
前回と比較して小ネタやトークといった部分を大幅に削り、また審査員の人数も6名と非常にコンパクトにして行われた2021年の紅白歌合戦。歌唱中の演出は例年どおり素晴らしいものでした。
とはいえ途中途中に「M-1グランプリ」の演出が入ってきたり、司会の大泉洋さん(48)のトークが昨年に引き続き炸裂したり、いきなり細川たかしさん(71)と歌いだしちゃったりなど、非常に面白さと合わせて混乱する部分もありました。
個人的にはこうした演出は好意的に受け止めるタイプなのです。とはいえスタンスとして1年の締めくくりとしての歌番組なのかバラエティ歌番組なのか分からず、見る側として温度感をどう保ったら良いのか分かりにくい部分があったように思います。
■全部風のように持っていった藤井風
筆者は普段あまりテレビを見ないのですが、1年のトレンドを追いかけるにあたって紅白歌合戦はとても大切な情報源の1つ。そのため、毎年視聴しています。
そんな今年も多くの時代を反映するアーティストが出演するなか、今年は藤井風さん(24)が風のようにすべてを持っていった感があるなと感じました。人気なのは知っていましたが、ここまでとは……。
まさかの隣で視聴していた母親(60代)まで「かっこいいわ」とつぶやいていたのですから。藤井風の魅力、恐るべし。
バズりネタがあったとはいえ、全体的に見るとこぢんまりとまとまり、視聴率も振るわなかった紅白歌合戦。2022年はそれを踏まえ、どういった演出に変わっていくのでしょう。抜本的な変化をするのか。もともとの形に戻すのか。1年後が今から楽しみです。
(文:おおしまりえ)