軽量化されメタルテープに対応したウォークマン2 画像を見る

住んでいた場所は違っても、年齢が近ければ「そうそう! わかる」って盛り上がれるのが、音楽と一緒に歩いた青春時代の話。活躍する同世代の女性と一緒に、“’80年代”を振り返ってみましょうーー。

 

■どんどん進化していく機能にも楽しみが

 

「’79年、ソニーから発売された初代『ウォークマン』を家族が購入。ヘッドホンから流れてきた曲を聴いた瞬間、“こんなに小さいのに、なぜこんないい音が出るんだ!?”と衝撃を受けました」

 

こう話すのは、世代・トレンド評論家の牛窪恵さん(54)。

 

開発段階では「録音機能がないテープレコーダーなど売れるのか」という反対意見もあったといわれるが、各社から同様の商品が発売され、’80年代はポータブルカセットプレーヤーの戦国時代に。

 

「’60年代から一家に一台、大きなステレオを買う家庭が増え、さらに’70年代後半になると、自分の部屋でも音楽を楽しみたいと、ラジカセのニーズが高まりました。とくにSANYO『おしゃれなテレコU4』(’79年)や、ダブルカセットでダビング機能がついた『ダブルU4』(’82年)が大ヒット。『ウォークマン』は、さらに外でも歩きながら使えるので、音楽を聴く場所が広がったのです」

 

同時に流行ったのが、オリジナルのカセットテープ作りだ。

 

「みなさん、好きな曲や聞かせたい曲をテープに録音して、恋人に贈ったり、友達と貸し借りしたのではないでしょうか。どんな音楽を聴いているかで、性格やセンスがわかるものですが、『ベストヒットUSA』が流行っていた当時は、ちょっと背伸びをした小学生が、洋楽でオリジナルテープを作ったりしていました」

 

カセットテープ自体の種類も豊富で、とくにお気に入りの曲は、ノーマルテープよりも少し高価なテープに録音したものだ。

 

「音の違いもよくわからないのに、『メタル』や『ハイポジ(ション)』がカッコいいからと、無理して高価な金色や銀色の包みのテープを使ったりしていました」

 

通学途中にウォークマンで音楽を楽しんでいた人も多かったが、それが社会問題にもなった。

 

「イヤホンやヘッドホンからの音漏れが原因で電車内でトラブルになったり、歩行中に車のエンジン音が聞こえず、クラクションを鳴らされる人も見られました」

 

そのせいもあるだろう。ボタン一つで音量を落として会話できる機能や、手元で再生や一時停止ほかの操作ができるリモコンなど、製品も進化していった。

 

「重低音調整や、オートリバースなども次々に装備され“次の商品には、どんな機能が?”と楽しみでした。“世界のソニー”の呼称どおり、当時のソニーには、現在のアップルに抱くような期待感があったのではないでしょうか」

マーケティングライター、世代・トレンド評論家

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