■榊氏のケースは過去の事例とは異なる
公開中止にともなうリスクは大きい。不祥事を起こした出演俳優には、損害賠償請求される傾向が見られる。
「新井さんが抱える賠償金は億単位にものぼると言われていました。新井さんが逮捕された同年11月には、沢尻エリカさん(35)も麻薬取締法違反の疑いで逮捕され大河ドラマを降板。ドラマの撮り直しやCM降板などで賠償金が20億円まで膨らんでしまったといいます」(芸能関係者)
「一旦公開中止」となってしまった『蜜月』。果たして公開中止にともなう損害賠償はどのようになるのだろうか? そこで本誌は、レイ法律事務所の河西邦剛弁護士に話を聞いた(以下、カッコ内は全て河西弁護士)。
まず河西弁護士は、“過去の事例”との違いを指摘する。新井や沢尻は逮捕された事実が“第一報”として報じられたが、今回の榊氏の場合は『週刊文春』によってスキャンダルが報じられた段階にある。その点を踏まえて、河西弁護士は法的な損害賠償の観点から次のように説明する。
「過去の事件においては、出演者が逮捕され本人も容疑を認めていることを前提に、作品が公開中止や放送中止になったケースもありました。実際こういったケースは制作側から出演者側に対して数千万円単位での損害賠償請求がなされた事例もありました。
しかし現時点においては『文春』の報道に基づいて、製作委員会側が“一旦”公開の中止の判断をしたという段階であり、明確には刑事事件になっていません。榊氏も事実でないことが含まれていると報道を一部否認していることからも、出演者が逮捕された過去の事例と同列には考えることはできません。そうするとあくまで現状においては、製作委員会から榊氏に対する損害賠償請求が“即”認められるとは法的にはなりくいといえます」
しかし今後、榊氏が損害賠償請求をされる可能性について、河西弁護士はこう続ける。
「もっとも、今後、刑事事件に発展した場合や暴行により性交渉をされたと被害を訴える女性の主張を榊氏が認めた場合。または警察に立件されなくとも犯罪に匹敵するような行為があったといえる場合には、損害賠償が法的に発生する可能性は十分にあります」
一方でこれまでは出演者による不祥事だったが、今回は監督という立場。その影響の違いについて、河西弁護士はこう説明する。
「作品への影響度という点では、主演並みの影響度があるといえるでしょう。監督であれば、撮影現場の総責任者として、出演者、製作スタッフ、カメラマン、音響スタッフに指示を出す権限がありますし、出演者のキャスティングについて権限をもつケースもあります。
そうすると出演者と違って、作品を見た人の目に直接触れることはない立場だとしても、作品への寄与度としては、主演と同じかそれ以上ということになります。監督の不祥事だとしても過去の出演者のケースと同じく損害賠償は認められる可能性はあります」
作品にも大きく影響を及ぼした榊氏のスキャンダル報道。果たして、真実は明らかになるのだろうか。