■本人は《僕からつくらなくてはいけない歴史、文化が必要になってくる》と
だが、前出の歌舞伎関係者によれば、最近の海老蔵の言動で、重鎮たちが團十郎襲名の口上に並ばない懸念すら出てきたという。
「親の借金を完済し、“松竹への義理は果たした”と考えた海老蔵さんは、歌舞伎座での襲名披露興行を終えた後は、松竹抜きの襲名興行も考えていると聞いています。ただ歌舞伎座はまだしも、そのほかの公演で襲名披露興行を行った場合、口上の横に並ぶ重鎮が集まるのかは、はなはだ疑問です。
というのも、ここ数年の海老蔵さんは先輩たちのアドバイスなど、ほとんど聞かなくなってしまったんです。“彼のためなら、全国どこでも一緒に頭を下げる”と思う重鎮の方々がどれだけいるのか……」
海老蔵は團十郎襲名を発表した直後、こう抱負を述べていた。
《自然界では、十二時間、十二カ月、十二支など、十二という数字でひと巡りしますよね。團十郎家は、初代團十郎という荒々しいエネルギーがあって、十二代團十郎は平和なエネルギー。父でひとつの完結を迎えたと思うんです。そう考えると、次の十二代は僕からリスタート。僕からつくらなくてはいけない歴史、文化が必要になってくる》(『演劇界』’20年7月号)
前出の後援会関係者は言う。
「以前は片岡仁左衛門さんが荒ぶる海老蔵さんを気にかけ、『ちゃんとしなきゃいけないよ』と声をかけてくださいました。しかし、’10年に元暴走族の男に暴行される事件が起こり、仁左衛門さんが代役を務めたことがありました。酔ってトラブルに巻き込まれた海老蔵さんにさすがに怒っていたと聞いています。今はもう半ば呆れてしまっているようです。
仁左衛門さんは最近のインタビューで《目新しさばかりでなく、やはり多くの先輩方が守ってこられたものを大事にしていって欲しいと、そう希望しています》と語っていましたが、海老蔵さんが念頭にあるのは明白です」