「コロナ禍もあって、5年ぶりのカンヌ。また戻ってこられてうれしいのと、たくさんの人が待っていてくれていたこともうれしかった」
こう語ったのは、映画監督の河瀨直美氏(52)。
5月25日(現地時間)にフランスで開催された「第75回カンヌ国際映画祭」で、河瀨氏が総監督を務めた東京五輪公式記録映画『東京2020オリンピック SIDE:A』がクラシック部門で上映された。
各メディアによると、河瀨氏は火の鳥をイメージしたドレスに身を包んで登場。舞台挨拶では、「スポーツはたくさんの困難を乗り越え、私たちに希望や勇気を与えるものだということを感じとってもらえたらうれしい」と呼びかけたという。上映終了後は日本の取材陣に向けて、冒頭のように喜びを語ったと伝えられた河瀨氏。
東京五輪公式記録映画の日本上映は、『東京2020オリンピック SIDE:A』が6月3日に。次いで『東京2020オリンピック SIDE:B』は、6月24日に公開が予定されている。
だがセレモニーが開催されたタイミングで、河瀨氏に“暴行疑惑”が再び報じられたのだ。
25日配信の『文春オンライン』によると、河瀨氏は自ら代表を務める映像制作会社「組画」のスタッフに暴行していたという。トラブルが起きた時期は’15年10月下旬。「組画」の事務所内に男性職員Aさんが足を踏み入れた途端、河瀨氏が固く握った拳でAさんの顔面を殴りつけたというのだ。
それでも河瀨氏は暴行をやめようとせず、Aさんを執拗に追いかけ続けたとも報じられている。暴行を受けてそのまま退職したというAさんは、「週刊文春」の取材に「河瀨さんに殴られたのは事実です」と語っている。その一方で河瀨氏の事務所は、同誌の質問に対して期日までに回答しなかったという。
今年4月にも「週刊文春」によって、暴行が報じられた河瀨氏。’19年5月に映画『朝が来る』の撮影現場で、撮影助手に触れられたため蹴り上げたと報じられた。
河瀨氏は同月28日、その経緯について公式サイト上で次のように説明文を公表。
《俳優の演技が終わるかどうかのタイミングで、撮影部の助手の方がカチンコの方向にカメラを向けるためイージーリグという河瀨の身体に装着されているカメラの補助器具を引っ張って誘導しようとしたようですが、咄嗟のことで河瀨は重心を保てず、転倒しそうになりました》
《両手が塞がって自由が効かない河瀨にとって、急な体の方向転換は恐怖でしかなく、防御として、アシスタントの足元に自らの足で抵抗しました》
さらに同日中には「撮影助手Aと河瀨による連名文書」と題する文書も発表し、《3年前の撮影時の出来事に関して、既に当事者間で解決をしていることであります》ともコメント。
そんな河瀨氏は、’25年4月から開催される大阪・関西万博のプロデューサーにも就任している。このトラブルが報じられた直後、万博の広報担当者は本誌の取材に「本件は万博とは関係のない事案と考えております」と回答していた。
映画界をめぐっては監督による性暴力やハラスメントといった告発が相次いでおり、そのことによって公開が中止となった作品も。だが2度にわたって暴行が報じられるも、“一切お咎めナシ”の状態である河瀨氏に対して厳しい声が上がっている。
《五輪映画、公開中止ないし延期にすべきじゃないだろうか》
《日本映画界ダンマリでいいのか。五輪映画中止でいいのでは》
《これで五輪映画公開中止にならなかったらおかしくない? 性暴力発覚では公開中止になるのに、暴力発覚では中止にならないことになる》
《また河瀨直美監督の暴行事件。今度は顔面を殴りつけたと。五輪公式映画も大阪万博の仕事も、やはり降りるべきではないでしょうか》