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住んでいた場所は違っても、年齢が近ければ「そうそう! わかる」って盛り上がれるのが、青春時代、毎週ドキドキしながら見たドラマの話。活躍する同世代の女性と一緒に、“’80年代”を振り返ってみましょうーー。

 

■見ていてつらくなるほどリアルな日常が舞台

 

’79年に放送がスタートした『3年B組金八先生』(’79~’11年・TBS系)は、その後、32年にわたり、断続的に第8シリーズまで制作された人気作品。

 

ドラマは開始直後から高視聴率をマークし、撮影場所には出演者見たさに、女子中高生が押し寄せたという。番組からは数々のスターも輩出されたが、その筆頭格がたのきんトリオだ。

 

「ある歌番組の中でトシちゃん(田原俊彦)が、武田鉄矢さんと電話で話す企画があったんです。人気絶頂のトシちゃんに、武田さんは『最近、歌番組で調子に乗っていないかスタッフに聞いてみたんだが、ちゃんと周りに気を使えているみたいだな。いいやつだな』と、本当の先生のようだったのが印象に残っています(笑)」

 

そう話すのは、世代・トレンド評論家の牛窪恵さん(54)。

 

いまだに“武田鉄矢=金八先生”というイメージが定着しているのも、ドラマにリアリティがあったからこそ。

 

「『おれは男だ!』(’71~’72年・日本テレビ系)といった’70年代の学園ドラマは、全体的にコメディタッチで描かれることが多かった。困難にぶち当たっても、汗をかき、ときには“取っ組み合い”をして、情熱と根性で解決していました。一方、『金八先生』は、ごく普通の生徒の中に、問題行動があったり、貧困家庭だったりする子どもがいる、リアルな“中学の日常”が舞台。“力技”で問題が解決するわけではなく、『人という字は、人と人とが支え合ってできている』といった名言で知られるように、金八先生は必死でクラスを一つにまとめていきました」

 

移り変わる時代に即したテーマが扱われているのも、大きな特徴。

 

「校内暴力や非行、家庭不和、管理教育から性同一性障害まで、多岐にわたりました。第1シリーズでは杉田かおるさん演じる浅井雪乃が、15歳で妊娠、出産するストーリーが衝撃的でした。第2シリーズの見どころは、『腐ったミカンの方程式』『卒業式前の暴力』などの回で中心となった不良少年・加藤優。学校で問題行動を起こし、中島みゆきの『世情』が流れる中、手錠をかけられるシーンは忘れられません。とくにいじめのシーンなどは、見ていてつらいものがありました。こうした題材にも真正面から取り組む、原作・脚本を手がけた小山内美江子さんや制作スタッフの気概を感じさせられました。単なる学園ドラマではなく、ヒューマンドキュメンタリーに近い作品だったのではないでしょうか」

 

【PROFILE】

牛窪恵

’68年、東京都生まれ。世代・トレンド評論家でマーケティングライターとして『ホンマでっか!?TV』フジテレビ系)など多数の番組で活躍

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