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11月4日の午前中。横浜・ぴあアリーナMMの裏口に色とりどりの“祝い”のスタンド花が次々と運び込まれていく。なかには“くまのプーさん”のバルーンがちょこんとのった花かごも。

 

花の搬入が落ち着いてしばらくした13時ごろ、黒いワゴン車が会場敷地内へ入っていった。後部座席に1人で座っていたのは、この会場で5時間後にプロとしての初アイスショーの開幕を控える羽生結弦(27)だった。

 

「今回のショーは、7月のプロ転向会見の後に開催が決まって、急いで動きだしたものです。出演者は羽生さんのみ。アイスショーはふつう、複数のスケーターが順番にプログラムを披露しますが、ワンマンショーは異例です。体力的にもかなり負担があると思います。演出まで自ら手掛けており、準備や練習に追われ、この3カ月半寝不足になるほど多忙な期間を過ごしたようです」(スポーツ紙記者)

 

そんな羽生の奮闘に呼応するように、ファンの熱も沸騰。

 

「公演のチケットは争奪戦でした。また、2日目の公演は全国の映画館で生中継されるライブビューイングがあったのですが、反響の大きさから、上映館数が当初の発表から増えて最終的に全国81カ所で上映されることに。こんなアイスショーはいままでありません。史上初といっていいスケールだと思います」(前出・スポーツ紙記者)

 

会場入りする羽生の乗った車の後方には、もう1台のワゴン車が見えたが、ここには羽生の母親らしき女性の姿が。これまでも羽生のショーには常に付き添っていた母親だが、別々の車に乗っているのは珍しい。“今回はひとりで”という思いが、こんなところにも表れているのかもしれないーー。

 

5時間後に開催されたショーは冒頭から異例演出。生で立ち会ったファンが証言する。

 

「《ただいまより6分間練習を行います》というアナウンスが流れ、練習着姿の羽生くんが登場し、試合のときの6分間練習を模したようなかたちでいくつかジャンプを跳びました。ショーでは練習を見せることはありませんから、新鮮な演出でしたね。そのあと上着を脱ぐと『SEIMEI』の衣装にかわったのです」

 

このあと羽生は『SEIMEI』から滑り始め、過去の名プログラムに新曲も加えた数々を披露した。

 

「90分ずっと羽生くんだけを見つめ続けられたのはファン冥利に尽きました」(前出・ファン)

 

羽生は9月、NHK BS1の番組のために『SEIMEI』の振付師であるシェイ=リーン・ボーン氏と対談をしている(放送は11月11日)。先行公開の内容によると、彼は対談でこう話している。

 

《挑戦していると、自分の魂を感じることができます。そして、生きていると感じることができます》

 

「挑戦を止めるのは死ぬとき」。その覚悟でファンを喜ばせた羽生の、次の挑戦は果たしてーー。

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