■「テレビ番組の視聴率は足し算ではなく掛け算」
NHKが若手に期待する理由の中には、SNSの積極的な活用がある。出場者発表翌日の『スポーツ報知』には、ツイッターフォロワー数約430万人を誇る『紅白』初司会の橋本環奈(23)についてNHK関係者の話が載っていた。
《「400万人がテレビを見たら数字は何%上がるのか…」と思い描く。同じ期待を出場者のファンにも抱いている》(2022年11月17日付)
この見方に民放関係者は疑問を抱く。
「今、テレビ番組の視聴率が全体的に低くなっているので、どの局も他の指標に頼りたくなります。具体的に言えば、ツイッターのトレンドに上がることを目安にしている番組もあります。でも、ネットの反応と視聴率は必ずしも比例しません。『スポーツ報知』に載ったNHK関係者のコメントが本音だとしたら、考え方が甘いと言わざるを得ない。それならフォロワー数が多い人をたくさん出して番組を作れば、高視聴率になります。でも、橋本さんのレギュラー番組も、特に数字が高いわけではない。テレビ番組は足し算ではなく、予期せぬ掛け算が生まれた時に初めて視聴率が上がるものです」
最近の『紅白』で言えば、2018年にサザンオールスターズが『勝手にシンドバッド』を歌った時、桑田佳祐(66)とユーミンの思わぬコラボレーションが生まれ、この年の歌手別で最高の45.3%をマークした。
「ツイッターには複数のアカウントを持つ人もいます。ファンは自分の応援するアイドルのフォロワーが一人でも多くあってほしいと思い、いくつものアカウントでフォローしている場合もある。中には休眠アカウントもありますし、何となくフォローしているだけの人もたくさんいるでしょう。ですから、フォロワーの数は人気の目安にはなりますけど、全てを真に受けるわけにもいかない。歌手や司会の人選も大事ですが、それ以上に企画力のほうが重要です」(前出・民放関係者)
出場者を若手にシフトしている『紅白』だが、彼らの人気だけに頼っていると肝心の受信料も取り逃がしてしまいそうだ。