有吉弘行の蛭子さんへの接し方に“認知症社会”と向き合うヒントがある 画像を見る

“おとぼけキャラ”として重宝がられていた蛭子能収さん(75)が20年7月、テレビ番組で軽度の認知症であることを公表してから2年半ーー。

 

「症状は徐々に進行していますが、調子のいいときは、会話をしていても、おとぼけキャラは健在。冗談も言えば、空気を読まない発言をすることも。認知症以外は健康そのもので相変わらず元気ですが……」

 

20年近くマネージャーをしている森永真志さんが蛭子さんの現状を語る。

 

「でも、やはり今の蛭子さんではテレビでは使われにくいでしょうね。現場のスタッフさんは今でも『やりましょうよ』と声をかけてくれますが、ハードルが高い。テレビ局という組織としては認知症の人を使うことに抵抗があるというか、そもそも前例がないですしね。それでもあきらめずに、テレビ局の方に蛭子の現状を伝えたり、『こういう企画でしたら大丈夫ですよ』と声をかけさせて頂いています」

 

森永さんには、蛭子さんとの約束がある。人から笑われることが大好きな蛭子さんは“ボケても笑われたい”とずっと口にしていた。さらに“いくつになっても稼いでいた”というのも口癖だった。マネージャーとして、それを実現したい、だけだ。

 

だが、“おとぼけキャラ”が“ボケキャラ”になったとたんテレビの仕事を失った。

 

ただひとり、そんなありのままの蛭子さんを重宝している人がいる。それが有吉弘行(48)だ。

 

「有吉さんとは、2008年から2010年にかけて放映したテレビ東京系の深夜番組で、有田哲平さんと堀内健さんが司会をしている『アリケン』(テレビ東京系)で蛭子さんが準レギュラーだったときに共演しています。その1コーナーで、有吉さんが、いつも通りの空気を読まない蛭子さんの発言に、強烈なツッコミを入れているシーンが受けたんですよね。蛭子さんも、若い人たちに『おもしろいオジサン』として知名度が上がっていったんです」(森永さん)

 

有吉は、96年に『進め! 電波少年』(日本テレビ系)で1度ブレークしたあと、しばらく仕事がない不遇の時代を過ごしていた。『アリケン』での毒舌ぶりが際立ち、再び人気者になっていった。

 

「再ブレークした有吉さんは、その後も、いろんな場面で蛭子さんを盛り上げてくれました。そして認知症になった今でもありのままの蛭子さんをわかってくれて、自分の番組に呼んでくれるのです。また、認知症の特性を知った上で、すごく気を配ってくれます。それに、今の状況でも、おもしろいことを見つけて、それをしっかり突っ込んでくれるのです」(森永さん)

 

認知症の人が活躍する──この高齢化社会になったとはいえ、一般社会でさえ難しい。テレビの世界ではなおさらだ。そのなかで、定期的に自分の番組に蛭子さんをゲストに呼ぶ有吉の功績はもっと称えられていい。特に、ゴールデンタイムでのレギュラー放送を開始した『有吉クイズ』(テレビ朝日系)では、初回放送に蛭子さんを招聘。その勇気はもちろん、そこで繰り広げられたコミュニケーションは、認知症の人への接し方としてもお手本のようなやりとりだった。

 

認知症になったといっても蛭子さんは蛭子さんだ。しかも、本人は、今でも「笑われたい」「稼ぎたい」と語っている。認知症という病気の特質を知ったうえで、周りがフォローすれば難しいことではない。それがテレビという世界であっても。

 

そんな、これまで難しいと思われてきた「認知症の人のテレビ出演」という可能性を見せてくれる蛭子さんと有吉の関係性に、これからも期待したい。

出典元:

WEB女性自身

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