「玉緒さんは葬儀にいらっしゃいませんでした。玉緒さんの娘さん夫婦も含め親族はみな出席していたのですが……」(玉緒の知人)
食道胃接合部がんのために亡くなった扇千景さん(享年89)の葬儀・告別式が3月27日、東京の増上寺で執り行われた。
女優、そして政治家として活躍した扇さん。その葬儀には政界、芸能界から多くの著名人が参列したが、扇さんの“義妹”である中村玉緒(83)は現れなかった。
「扇さんの夫で人間国宝の歌舞伎役者、故・坂田藤十郎さんは玉緒さんの実兄。意外と知られていないのですが2人は近しい“親族”なのです」(前出・知人)
扇さんの逝去時には「長きに渡り、芝居好きな役者人生一筋の、兄・藤十郎を支えて頂き本当に有難うございました」とコメントを発表していた玉緒。なぜ葬儀は欠席したのだろうか。実は“義姉妹”の間には長きにわたる確執があったという。
「2人の不仲が明らかになったのは’01年。扇さんが著書の中で、そのきっかけについて赤裸々に書きつづったのです」(芸能記者)
扇さんが小泉内閣で国土交通大臣を務めていたときに出版された『できることできないこと』(世界文化社)には「義妹・中村玉緒のこと」と題された章があり、こんな一文から始まる。
《主人の妹である中村玉緒との間には、かつていろいろ問題があり、現在では、ほとんど交流はありません》
確執が生じたのは’71年、玉緒の夫・勝新太郎さん(享年65)が突如行った離婚会見が契機となった。会見に驚いた玉緒は慌てて両親、兄と扇さん夫婦のもとを訪れ、5人で“家族会議”が始まったのだ。
明け方まで話し合い、玉緒が離婚して京都の実家に戻るという結論が出たので一同眠ったのだが、起きてみると玉緒がいない……。
《「私、離婚するのやーめた」と言って、玉緒が東京に帰ってしまっていたではありませんか。その後、心配でたまらない両親に、電話ひとつの連絡もない》
真剣に相談に乗ってようやく結論を出したのに態度を豹変され、烈火のごとく怒った義父母を目の当たりにした扇さんは、玉緒と距離を置いたという。前出の玉緒の知人が語る。
「それからもう50年もたってしまったのですね。残念ながら、最後まで2人が交流を再開することはありませんでした。玉緒さんも反論こそしませんでしたが、扇さんの“暴露”をこころよく思っていませんでした。
また、バラエティに出演することが多くなった玉緒さんを、プライドの高い関西歌舞伎の名門である実家の皆さんや扇さんが苦々しい思いで見ていたのも確かです」
本誌が葬儀欠席の理由を玉緒の所属事務所に訪ねると「軽い体調不良です」と回答があった。
近年、長女との不仲も報じられている玉緒。家族との縁に恵まれないのは、自然体を貫いてきたゆえなのか――。