今もっとも“ホットな”芸人といえば、とにかく明るい安村(41)ではないだろうか。過去にオペラ歌手のポール・ポッツなどを輩出したイギリスの人気オーディション番組「Britain’s Got Talent」に先日出演し、「安心してください。履いてますよ」でお馴染みのパンツ一丁のネタを英語で「Don’t worry, I’m wearing.」と披露したところ、これが大ウケ。
番組の公式YouTubeに公開された安村の動画は、公開から2週間で現在約930万回再生されほどの反響があり、帰国後は日本のテレビでも引っ張りだことなっている。
安村といえば、’15年の『R-1グランプリ』の出演をきっかけに、大ブレイク。しかし翌年の’16年に『週刊文春』に不倫を報じられると、“愛妻家”として知られたこともあってか、テレビでの露出が激減した。
このまま“一発屋”となって消えるのかと思いきや、救いの手を差し伸べた先輩芸人がいた。有吉弘行(48)だ。
不倫が報じられた後も当時は特番だった『有吉の壁』(日本テレビ系)に、安村は毎回のように出演。スキャンダルから吹っ切れることができずに収録に臨んでいた安村に有吉は言葉をかけたという。
《 有吉さんは言った。「いつまでやってんだよ。お前のやらかしたことなんて、世間はもうだれも気にかけてねえよ」》(『リアルサウンド』’22年3月配信記事)
そして、有吉が“再生”を手助けした芸人は安村だけではない。’09年ごろから『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ系)を中心に活躍したもう中学生(40)は『有吉の壁』出演を契機に魅力に再び注目が集まり、ジョイマンのボケ担当である高木晋哉(42)も『有吉の壁』や『有吉ゼミ』(日本テレビ系)への出演をきっかけに再び露出を増やしている。
まさに“再起請負人”とも言える有吉。その手腕について、お笑い評論家のラリー遠田氏に話を聞いた。まずラリー氏は、『有吉の壁』での安村再ブレイクの流れについて言う。
「コロナ禍で芸人の自宅からリモート中継をする企画のときに、安村さんはバケツで何杯も水をかぶり、床が水浸しになったことがありました。これに有吉さんが爆笑していました。
このように、安村さんは『有吉の壁』で何度か大爆笑を引き起こしていて、『安村さんの体当たりの全力パフォーマンスがすごい』と評価されています」(以下、カッコ内はラリー氏)
『有吉の壁』で笑いを取ることは、大きな価値があるようだ。
「『有吉の壁』はテレビ業界の中でも注目されている番組なので、ここで結果を残した芸人はほかの番組でも起用されやすくなります」
もう中学生の魅力についても、有吉は一足早く気づいていた。
「もう中学生さんが再ブレークしたきっかけは、有吉さんのラジオ番組にゲストとして出演したことです。もう中学生さんのクセの強い不思議な発言に対して、有吉さんはあえて真正面からはツッコまずに、すべて受け入れて面白がっていました」
もう中学生の新たな可能性を見出した有吉。業界の有吉の影響力はかなりのものだという。
「有吉さんのラジオも業界聴取率が高い番組なので、バラエティ番組のスタッフの間でも『有吉さんがもう中学生さんを面白がっている』ということが伝わったのでしょう。それで『有吉の壁』にも呼ばれたりして、そこからほかの番組にもどんどん出始めたのだと思います」
有吉自身も“一発屋”の烙印を押されていたことが。`96年のテレビ番組『進め!電波少年』のヒッチハイク企画で大ブレークを果たすも、徐々に仕事がなくなり`04年には猿岩石を解散。しかし、`07年に出演した『アメトーーク!』で、お笑いコンビ・品川庄司の品川祐(51)に“おしゃべりクソ野郎”とあだ名をつけたちまち話題に。毒舌キャラで再ブレイクを果たす。この経験が後輩たちを再ブレイクさせることに役立っているのだろうか。
「お笑いというのは、芸人同士が『ネタを振って、それを返す』という阿吽の呼吸で成り立っているものなので、誰もが助け合っている関係にあります。有吉さんに限らず、芸人であれば誰でも、共演する後輩芸人の持ち味を引き出したいという思いは持っているのではないでしょうか」
はたして、有吉が次に再生させる芸人は――。