■今後のテレビ界は内村グループが中心に
現在、計7本のレギュラー番組を抱えている松本だが、放送終了になった場合、テレビ局は新番組制作で何を重視するのだろうか。江戸川大学教授でお笑い評論家の西条昇さんはこう語る。
「女性との交際話や合コンの話で笑わせるような芸風は、コンプライアンスが叫ばれるテレビの世界ではもはや厳しいでしょう。きわどい笑いよりも、いまは出川哲朗さんやサンドウィッチマンのような“人柄のよさ”だったり、“ほっこりする”“癒される”笑いが求められるようになりました。今回の松本さんの件で、今後のキャスティングは“女性遊びなどを表に出さない”“クリーン”なタレントが真っ先に選ばれるのではないでしょうか」
それでは実際、新番組のメインには誰が起用されるのか――。
「新しい番組では“関東芸人”がキーワードになるでしょう」と語るのは、民放のお笑い番組を手掛ける現役プロデューサーだ。
「松本さんの番組によく出ていた吉本芸人は、今後番組のキャスティングでは不利になるでしょう。弟分である今田耕司さんらの出演番組が放送見合わせになるなど、すでに影響が出始めています。東野幸治さん、千原ジュニアさんらも“松本色”が強く、今後は代役やレギュラーが増えることも考えにくいでしょう。
そのため非吉本で好感度の高い売れっ子・内村光良さんと、彼を誰よりも尊敬する有吉弘行さんの2人にオファーが集中しています」
前出の西条さんも言う。
「『週刊文春』では“後輩芸人が松本さんにアテンド”と伝えられていますが、これからは芸人同士の上下関係を感じさせる構図の笑いは減っていくと思います。一方で内村さんや有吉さんは、後輩芸人と絡んでも基本的に“優しい”印象があります。“後輩を引き連れて遊ぶ”イメージもありませんから、テレビ局も視聴者も今、求める像に合致するでしょう」
そして、サンドウィッチマンもダウンタウンの穴を埋める存在に。
「サンドウィッチマンの所属事務所幹部はもともと元フジテレビ関係者で、今後フジは彼らとの関係を強めていくと考えられます。ほかにもバナナマンやくりぃむしちゅー、さまぁ~ずやハライチ、劇団ひとりといった関東勢の中堅も“安全”という判断です。『IPPONグランプリ』(フジテレビ系)の代役を務めたバカリズムもオファーが増えるでしょう。
もともと内村さんは今春から2つの新番組が始まる予定でした。有吉さん、出川さんも含めて、今後のテレビ界は内村さんグループを中心に回ることになります」(前出・制作関係者)
実は松本が同世代で唯一、認めているのが内村だという。
「ダウンタウンとウッチャンナンチャンは’88年から放送された『夢で逢えたら』(フジテレビ系)で共演して以来の盟友です。なかでも松本さんは内村さんの才能と実直な性格にほれ込み、’09年の自らの結婚式に、吉本以外で呼んだ唯一の芸人でした。
内村さんが『紅白』の総合司会に決まったときは『嫌いな芸人1位のダウンタウンと、明暗がくっきり分かれた』と自虐的に表現してエールを送っていました。シャイな内村さんのため、ほかの芸人仲間も呼んで、時折プライベートで会う機会を設けていたと聞いています」(テレビ局関係者)
松本は’21年8月、7年半ぶりに『FNSラフ&ミュージック』(フジテレビ系)で内村と共演。
「ウッチャンナンチャンとダウンタウンでまた何かやりたいよね。ウッチャンとね、なんか特別なものがあるのよ」と神妙に語っていた。
松本にとって内村はくしくも“頼れるのはアイツだけ”と心から思える唯一の禅譲相手なのかもしれない。