《映画はDVD化されてから観ました。クソ映画でした。僕が漫画で描きたかったこととはまったく違いました。》
「死ぬほど嫌でした」と題した自身のnoteの記事で、そんな衝撃の告白をしたのは、『海猿』や『ブラックジャックによろしく』など、数々のヒット作を世に送り出してきた漫画家の佐藤秀峰氏(50)だ。
『海猿』はテレビドラマや映画と、何度も映像化された人気作。特に映画は4作が作られ、興行収入の総額が200億円を超えるなど、大ヒットを記録した。
今回の佐藤氏のnoteは、日本テレビでドラマ化された『セクシー田中さん』の原作者でもある漫画家の芦原妃名子さん(享年50)の死去を受けてのもの。
佐藤氏も『海猿』の映像化に際して、自分の意思が尊重されなかったと告白。
《すでに企画が進んでいることを理由に、映像化の契約書に判を押すことを要求されました》
《原作使用料は確か200万円弱でした》
作品の内容も自分の納得のいくものではなかったという。さらに、テレビ局がアポなしで取材にきたことや、関連本の無断出版などもあって、原作使用の契約更新を拒否したことを明かしている。
その結果、ドラマ版と映画版の『海猿』は事実上のお蔵入りになっているが、佐藤氏はそのことで多くのバッシングを受けたという。
漫画の映像化にはブラックボックスの部分があるとして、《芦原さんについて「繊細な人だったんだろうな」という感想をいくつか見かけました。多分、普通の人だったんじゃないかと想像します。普通の人が傷つくように傷つき、悩んだのだと思います》と結んでいる。
誰もが知る大ヒット映像化作品の原作漫画の作者による衝撃の問題提起。佐藤氏は現在連載中の『Stand by me 描クえもん』(リイド社)のなかで、「この物語はフィクションです」と断ったうえで、作中の漫画『魚猿』が漫画家の主人公の手を離れて映像化されていく様子を描いている。