■このまま何もしないで生活していたら…
しかし、逝去から半年が経過し、次第に彼女の中でも心境の変化が起こってきたという。岩下の知人が明かす。
「この半年間、失意のなかで夫亡き後の生き方について熟考した末、岩下さんは“やっぱり私は女優を続けたい”と、女優業の継続を決断したそうなのです。
かつて出産を機に女優引退をほのめかした際、篠田さんから“君は女優をしているときがいちばん輝いている、君にはずっと輝いていてほしい”と、笑顔で告げられた思い出が大きかったようです」
5年前に本誌が行ったインタビューでも、岩下は“篠田さんとの約束”についてこう明かしていた。
《2年の同棲生活のあと、私が26歳のときに結婚したのですが、そのとき篠田が言いました。「結婚しても、女優はやめないでほしい。むしろ結婚生活を栄養分にして、女優としてもっと豊かになってほしいんだ。女優として家庭は休息の場にして、家事もいっさい放棄していいよ」。私自身、役に入り込むタイプですから、この言葉はありがたかったです》(本誌’20年10月20日号)
また女優継続の決断には、ほかにも理由があったという。
「岩下さんは、認知症によって篠田さんとの長年の思い出を忘れてしまうのをとても心配しているといいます。
最近、年齢による体力の衰えを実感しているところもあるようで、“このまま何もしないで生活していたら認知症になりかねない”と不安を周囲に明かすことも少なくないそうです」(前出・岩下の知人)
岩下は以前から健康に気を使っており、60代から太極拳を20年以上続けているほか、食生活やストレス対策にも気を付けているという。
《食事は一日3食を欠かさず、もずくとお豆腐を毎日食べています。(略)そして、食事前にはマントラを唱えながら瞑想します》(『美ST』’23年10月号)
さらに女優継続に向けて“相棒”ともいえる人物による力強いサポートもあるようだ。
「篠田さんが亡くなってから、俳優の北大路欣也さん(82)が岩下さんのことを気にかけているようです。映画『祇園祭』(’68年)で共演して以来、2人は長らく家族ぐるみで親交があるといいます。2人で思い出話に花を咲かせることもあるそうです。
北大路さんは、東京郊外にお気に入りの果樹園があるそうで、そこでとれるぶどうや梨、桃といった季節の果物を、折に触れて岩下さんに送っているそうなのです。岩下さんも喜んで召し上がっているといいます」(前出・芸能プロ関係者)
果物は認知症予防に効果が期待でき、とくにぶどうには、ポリフェノールなどの脳機能の低下を抑える成分が含まれていると言われている。
岩下の女優継続について所属事務所に取材すると、担当者は次のように答えた。
《現在でも岩下は篠田さんの逝去を悼んでいる状況です。しかし、彼女は女優継続を望んでおり、内容やスケジュール次第ではありますが、魅力的なオファーがありましたら、いつでもお受けしたいと考えております》
亡き夫との笑顔の思い出を守るため、岩下は女優であり続ける。
画像ページ >【写真あり】岩下と親交57年の超ベテラン名優(他10枚)
