■「お酒を飲まなくても、踊るだけでトランス状態」になる中毒性
もっとも、こうした“エンタメ化”だけが人気の理由ではない。盆踊りにハマった人たちを虜にする、独特の“中毒性”があるという。
「10曲くらい、30~40分ぶっ通しで踊っても『まだ踊り足りない』となる人もいます」
その秘密は、盆踊り特有のゆったりとしたリズムと、シンプルな振り付けにある。
「ふだん聴いている音楽よりもテンポが緩やかで、振り付けも流れるような動きが多い。短い振り付けを繰り返していくので、一度覚えてしまえば、頭で考えなくてもずっと踊っていられるんです」
何曲も繰り返し踊っているうちに、次第に周囲の人との動きがそろっていく。
「みんなの動きがそろってくると、大きな波に飲まれていくような感覚になるんです。ちょっと悦に入るというか、ゾーンに入る感じ。お酒なしで酔っているような感覚になる人もいます」
高尾さんが表現するのは、いわば“集団陶酔”。
「お金もかけずに健康的にトランス状態が味わえる。それが盆踊りのすごいところだと思います」
思わず「もう一曲だけ」と輪に戻ってしまう。その繰り返しで、気づけば30分、1時間――。
盆踊りが“依存性がある”とまで言われるゆえんだ。
■初対面でも「目が合う」SNS時代に生まれるリアルなつながり
もうひとつ、現代の盆踊りならではの魅力が、人とのつながりだ。
SNSでは日々、誰かとつながっている。それでも、実際に同じ場所に集まり、同じ時間を過ごす機会は意外と少ない。盆踊りなら、初対面の人とも言葉を交わさずにコミュニケーションが取れるという。
「アイコンタクトしてくれたり、踊れない人がいたら、踊れる人がちょっと教えてくれたりするんです。初めての方でも受け入れてくれる雰囲気があります」
しかも、会話が苦手でも参加しやすい。曲と曲の間に輪の中へ入り、後ろの人に一礼する。あとは流れに身を任せて踊ればいい。
「知らない人同士でも、程よい距離感で一緒に踊れる。言葉を交わさなくても一体感を感じられるんです」
これもまた、SNSにはない盆踊りならではの魅力なのだろう。
