[E:note]本作がメジャー復帰2作目ですが、メジャー復帰の最大のきっかけは?マリーン:きっかけですか? (同席したレコード会社担当・Aさんを指さして)この人! たまたま、本田さん(編集部注:サクソフォーン奏者の本田雅人)とうちのマネージャーがどこかで会って、「マリーン、本田さんとジョイントするのはどう?」という話になった。本田さんは以前うちのバンドのメンバーだったし、その前からも知っていて、昔から本当に素晴らしい方なので「いいんじゃないですか?」と答えました。 そして、マネージャーがその話をAさんにしたら、この人は私が昔カシオペア(編集部注:日本を代表するフュージョン・バンド)と一緒にやったりしたこととか細かく覚えてるの。私自身も忘れたようなことを「こうでしょ、ああでしょ」って覚えていて、そこにパッションを感じたんですね。私がメジャーからちょっと退いたのは、当時、私のことを本当に、情熱的に思ってくれる人がそばにいなくなったんです。自分のなかで納得できないことが多くて、「もういいや」って。でも、歌は好きで、メジャーから距離を置いても活動は続けていた。ファンはそのままついてくれたから生き残ることができたのかもしれませんが。それが久しぶりに私のことをこんなに語ってくれる人に会ったので、メジャー1作目(編集部注:本田雅人プロデュース『ジャズ&アウト』)をやったんです。Aさんは、ビジネス以上に、いろんなことを考えてくれるんですね。それは私がとても探していた存在。私は、一緒に仕事をする相手が、自分と同じぐらい熱意がないとなかなか乗らないんです。そして、彼は同じぐらいの気持ちを持ってる人。何も言わなくても、マリーンのために頑張ってくれる。逆に私もすごく期待されている分「それ以上のことを見せてやりたい」と思うんですね。私が頑張るほど、彼も情熱がどんどん高ぶるので、お互いにピンポンしているみたいです。しかも私のやりたいようにやらせてくれるし。こういう人に出会って良かった……まだ、これからなんですけど(笑)。[E:note]まるで恋人を語るかのようです!マリーン:そうですね~。私も日本に来て30年。30年もいたら大ベテランじゃないですか。世の中はみんな「新人を探して売り出しましょう」となっているけど、Aさんは、こんな私をね、信じてくれた。まだ私には可能性があるって教えてくれて。「もう一回、メジャーに戻ろう」という気持ちを、さらに強く感じさせてくれたんですね。撮影/永田理恵[E:camera]取材/吉田知美[E:pencil]