まずは35周年おめでとうございます。そこでリリースされた『初恋』。なぜ、いま初恋なのですか?
結構いろんな思いっていうのが入っていて、いまだから初恋っていうタイトルで歌えるかなって。
歌詞の内容がね、クラス会でまた初恋の人に出会うっていう物語なの。
初恋って誰にでも経験があるじゃないですか。
社会人になって大人になっておばあちゃんになっても、本当に誰もが初恋と聞いただけでふっと自分のことを思える、共通のものですよね。それが歌で表現できたらいいなと思ったのと、年齢的にクラス会とかさかんに行われる年頃でもあるし。そこでふたたび昔好きだった人に出会うっていうシチュエーションもいいかなっていうことです。
ほかにも、私はソロのほかに「なごみーず」っていうユニットを組んで全国を回っているんですけど、コンサートの会場に、同じ青春の歌を聴いた人たちが、同窓会をかねてコンサートに来て下さるんです。
会場のお客様の顔をみると、みんな嬉しそうに、楽しそうに聴いてくださる。
その人それぞれが自分の好きな歌を、思い出とともに聴きながらひとつの場所に集うという意味では、コンサートもある意味同窓会っぽい。
歌を聴くことで初恋の人を思ったり、当時のわくわくする気持ちを思い出したりとか。初恋の人に会う、そんな気持ちのコンサートにもしたいなっていうのもあったり。
そういういろんな要素があって、この曲を作りました。
「なごみーず」は去年の段階で100箇所ぐらいまわられていたそうですが。
今年はもう120箇所ぐらい越えていますね。
「なごみーず」だからできること、ソロだからできることの違いはなんでしょうか?
ソロは太田裕美100%という感じで、ピアノ弾いたり歌ったりいろいろやっているんですけど、なごみーずの場合はユニットという形で、3人がそれぞれにひとつのバンドとして成り立っているものなので、お互いの曲もコーラスつけたり、楽器を弾きあったり。
ソロは自分がメインなので、すべて自分がみんなの注目を浴びて仕切らなきゃいけないけど、なごみーずの場合は3人それぞれがソロをとったりコーラスつけたりして、そのときに視線がばらけるのがちょっと嬉しかったりします。
普段、ソロのときはコーラスをつけるなんてめったにないでしょ、でもなごみーずと一緒にコーラスをつけたりしてハモったり……一緒に音楽を作るって言う楽しさが倍増する気がしますね。
おしゃべりも、ソロのときはひとりで全部しゃべらなきゃいけないんですけど、なごみーずの場合は3人で漫才じゃないけど掛け合いながら、ステージを進めていくので、そういうのも普段と違う感じ。
ソロとなごみーずでは違う顔も見られるとファンの方も言ってくださるし、なごみーずだとそれぞれが歌うのも3分の1ずつになっちゃうので、もっと聞きたいっていう方はそれぞれのソロのほうに来ていただけたらと思うし。
そういう意味では2倍楽しめるんじゃないかな。
私も2つのコンサートがそれぞれの気分転換になるというか。ソロをやってると、なごみーずのコーラスも楽しいなと思うし、なごみーずでやっていればソロで思いっきり歌うのも楽しいなと思うし。相互作用があるんじゃないかな。
この歌を作ろうというのは、ご自身のなかで温めてきたことなんですか?
35年間で初恋というタイトルのものはなかったんです。でもそのうち歌いたいと思っていて、それがやっと形になったという感じなんですけど。
大人になるにつれて、初恋はどんどん魅力を増していく気がします。
よく「初恋にはかなわない」っていうでしょ。
初めての恋だから自分も経験がなくて、どう接していいかわからない分純粋。そういう純粋なものがすごくいとしく思える……この年頃になるとますます、そう思えますね。
太田さんの初恋はいくつのときですか?
幼稚園。同じクラスのあけみちゃんという仲良しの子の弟くん。
私が4歳ぐらいで、弟くんが3歳ぐらい?
すごくかわいい子で、ちょっと内気な感じの男の子。おねえちゃんの気分で、いつも気にかけてた感じです。
その初恋はどうなりましたか?
幼稚園の卒園とともに……(笑)消えた、みたいな感じですね。
その後の恋愛にも影響しましたか? 内気な人にひかれたりとか。
そのギャップですね。十代のときはものすごく年上の人が好きでした。自分の倍くらい年上の。女子校だったから同じ年頃の男の子に出会う機会もなかったんですけど、ちょっと子供っぽく思えちゃうのかな? だから年上の人のほうが素敵って感じでしたね。
太田裕美さんのインタビューは明日に続きます。
撮影/永田理恵