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5月2日、東京・浜松町『自由劇場』で鳴り物入りで始まった劇団四季の『春のめざめ』。

07年のトニー賞をミュージカル作品賞をはじめ、8部門受賞に輝いたミュージカル。チェルシーにあるオフの小さな劇場で幕を開けたこのミュージカルは、たちまちブロードウェイに進出。とにかく、最初に観たニューヨークでの興奮がいまだ忘れられない出来の良さだった。

物語の舞台は、19世紀末のドイツ。つまらない授業に理不尽な教師、理解を示さない親。息の詰まる生活を送る高校生たちに降りかかるのは、いじめ、DV、同性愛、自殺、妊娠という苛酷な現実ばかり……。
初見当時はこんなストーリーさえ知らずに、予習なしで劇場に飛び込んだのだが、一幕目が終わって、横にいた友達も「すごいね!」と興奮を隠さずに顔を向けた。

こんな救いのない衝撃的な主題がなぜここまで観る人の心を打ったのか、それは音楽の力に他ならない。

「感動的なミュージカルを作るというよりは、“世界を変えよう”、そんな想いで制作にとりかかった」

脚本家のスティーブン・セイターは99年にコロラドで起きた、13名が射殺されたコロンバイン高校銃乱射事件に着想し、作品を書き上げたという。

着ているジャケットの内ポケットから突然マイクを取り出して歌う若者たち。

1891年に独の劇作家ヴェデキンドによって書かれた戯曲は、現代にロックの力でみごとなエンターテインメント作品に変身。ニューヨークでは3年のロングランヒットとなった。

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劇場の座席設定もユニーク。全員常時ステージ上にいる演出のこのミュージカル、出番のない役者が座る座席がステージ上には設けてあるのだが、この席に連なる数10席をステージシートとしてわずか40ドル程度で解放。他にも、ホームページからエントリーして当日券を20ドルで買えるようにしたり、若者が来やすくなるよう数々の配慮がなされており、その成果もあって、ブロードウェイには珍しく、会場の半分以上が若者、会場全体が活気にあふれていた。

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舞台が終わり、外に出てみても、活気は継続中。ステージドア前にはサインをもらう長蛇の列が延々続いている。こんなにすごい“人出”はアル・パチーノとニ
コール・キッドマンの芝居以来かも。しかも、並んでいる全員に、キャストは丁寧にサインし、記念撮影にも愛想よく応えていた。

この1月には、ロンドンでも開幕。好評ぶりはニューヨークと同じで、3月にはすぐに大きなウエストエンドの劇場に進出。そのミュージカルが、オリジナルのままの演出で、日本でも観られるようになるというんだから、これはちょっとした“事件”だった。

マスコミ向けに3月10日に行われた製作発表会見には、音楽監督のキンバリー・グリッグスビー氏や劇団四季専務取締役の田中浩一氏が出席。取材に行ったロミヒー・トンプソンは、メインの曲を披露した柿澤隼人くんに一目惚れ。
「彼が主役だったらいいなぁ~」と大きな目をパチパチさせていましたが、その期待通りの配役となった。

初めてマスコミ向けに公開された通し稽古を観たヒューの感想は、「NYよりすげー」。

振付アソシエイトのジョアン・ハンター氏の合図で始まった通し稽古は、彼女の合図で開始。「これはリハーサルですから、いつも通りにやりましょう。ただし、エネルギーを決して下げないこと。何よりもみんなが楽しむことが大事ですからね。じゃあ、準備はいい?」

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横浜・あざみ野の四季芸術センターには25社もの取材陣が訪れ、すさまじい緊張感を生み出していた。

つづく……。

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