「2年前、自力で立ち上がれなくなったことから、母の介護は始まりました。急なことだったので自宅の準備など何もしていなかったし、どこの誰に相談すればいいかもわからなくて……。とにかく役所へ向かったところ、『地域包括支援センター』へ連絡するよう教わりました」
こう語るのは、おニャン子クラブでデビューしたタレントの新田恵利さん(48)。母・ひで子さん(87)を神奈川県内にある二世帯住宅の自宅で介護する生活を送っている。右も左もわからない状態から突然、介護が始まったという彼女だが、現在では自身の介護経験を基に「少しでも誰かの役に立てれば」と、介護についての講演も行うように。そして、東京都千代田区地域福祉計画策定委員にも任命された。
そんな恵利さんに、介護保健申請の手続きの流れや、親が元気なうちからできる準備など、この2年間の介護経験から学んだことを教えてもらった。
「地域包括支援センター」とは高齢者の暮らしを地域でサポートする拠点。保健師や主任ケアマネジャーなどがいる、地域のよろず相談窓口となっている。
「ここから母の介護プランを立ててくれるケアマネジャーさんが派遣されて、すぐに介護ベッドなどの手続きをテキパキと進めてくれました」
その後、介護保険のサービスを受けるための申請を。
「申請すると役所の職員さんが調査に訪れ、母を面接して状態を判定します。それから審査があって、約1カ月後に認定通知書が送られてくるというのが一般的な流れです。うちの母は寝たきりでしたので『要介護4』に認定されました。このとき、母が元気なうちに、どんな状態で要介護1とか2、3などと認定されるのかを知っておけばよかったと思いました」
次にケアマネジャーと「ケアプラン」を作成する。
「要介護の状態によって変わる支給限度額を見ながら、ケアマネジャーさんと相談して決めました。自己負担が1割というのも、このとき初めて知ったくらい」
どのくらいの頻度で、どの程度のケアが必要かは、まさに千差万別。
「リハビリを組み込み、作業療法士さんに訪問してもらえるようにしたのですが、この作業療法士さんがとても褒め上手で、母のやる気もアップしたのはよかったです(笑)」
介護がスタートしたら、プロに任せられる部分は任せる。そのうえで、自宅で介護する家族間での役割分担も重要だ。
「うちでは兄と一緒に介護をしています。兄は夕方からの仕事ですので、昼間と深夜は兄が担当。主人も買い物などを手伝ってくれます。子供時代、寝たきりだったおばあちゃんの介護を経験している主人は、私の母への介護も抵抗なくやってくれるんです。だから、お子さんやお孫さんがいる方はぜひ介護を手伝ってもらってください」
介護について、事前に“情報収集”しておくといいことは多いと恵利さん。
「まず、『地域包括支援センター』には顔を出しておくといいですね。自分の家の状況ではどういったサービスを受けられるかを、聞くこともできると思います。また、デイサービスでできることもそれぞれ違うので、見学してみるのはオススメ。おむつや介護用品が買える場所を調べておくのもいいでしょう」