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芸能スキャンダル、停滞する経済、横暴な政治……。一年を表す漢字は「金」だったものの、’16年の日本は、明るいニュースばかりではなかった。そんな日本を叱咤激励するのは、寄る年波をものともしない“最強のご長寿”たちだ。80歳、90歳を超えても“バリキャリ”道を突き進む彼女たちの、身をもって経験したからこその主張とは−−。

 

「ファッションというのは、流行を生み出していくもの。つまり、前を向いて走る仕事なんです。人生にも言えることだと思うのですが、今の人たちは、過去を振り返ることを大事にする……というか、私にしてみれば振り返ってばかりいるような気がします」

 

こう語るのは、世界的なファッションデザイナーの森英恵さん(90)。彼女は、主婦だった21歳のときに洋裁学校に通い、39歳で米ニューヨークへ進出。自身のブランド「ハナエモリ」は大人気となり、レーガン大統領夫人やセレブ女優などが顧客に名を連ねた。以降40年以上、常にファッションデザイナーの先駆者として活躍を見せている。

 

「自分が作った服を、喜んで着てもらうことが生きる原動力です。ここまで長く続けてこられたのは、好奇心を磨いていたからでしょう。大切なのは心のアンテナ。これは、前を向いて走り続ければ、風を受けて大きく開くし、後ろを振り向いてしまうと、たちまち縮んでしまうのです」

 

現在でも毎日のようにオフィスに通い、デザインに没頭する森さん。そんな仕事場には、モデルとして活躍する森泉や森星が相談にやってくることがあるという。

 

「7人の孫がいますが、人間関係や仕事の悩みを打ち明けにやってきます。孫たちは自分が言いたいことを勝手に話して満足するようですが、私は彼らから感性を拾い上げるのです。どんな本や音楽がはやっていて、若い人たちはどんな悩みをもっているのか。孫たちの話を聞くと、クリエーション魂に火がつくんです」

 

貪欲なまでに人に興味をもつ森さん。新たなテーマや課題が次々と湧いてきてやまないようだ。

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