子育てなどもとっくに終わり、代わり映えしない日常で……なんてもったいない! いまだからこそ、あなた自身の人生を取り戻すべき。「人生100時代」を楽しみ尽くすための、「学び直し」という選択。彼女たちの一念発起を見習って、豊かな後半生を楽しもう!
子どものころから本が好きで、母親から「本屋さんでもするの?」と言われるくらい、本に囲まれていた、いとうまい子さん(53)。「リケジョ」でもあった彼女は、46歳のときに早稲田大学の人間科学部に入学し、予防医学を専攻した。大学3年のときに父親が膀胱がんになり、入院後、転がるように足腰が弱くなっていった。
「驚くばかりの速さです。数週間の入院で、自力で立ち上がることもできなくなってしまって……」
ある日、父親のベッドに横になってみたら、目に入ったのは無機質な天井だった。
「人生の最後の何年間かを、ずっとこんな無機質な空間で過ごさないといけないなんてむなしい。やっぱり、自力で歩くことって大切です。父の介護がその後、私がロコモティブシンドローム(運動器の障害のため移動機能の低下した状態・以下ロコモ)の研究に向かったきっかけでした」
ロコモの研究のため、大学院に進学。高齢者のスクワットを見守るロボット「ロコピョン」を旭光電機(兵庫県神戸市)と共同開発した。改良後、商品化も考えている。
いとうさんが苦労したのは、やはり仕事と学業の両立だ。
「ロケ、期末試験、家事が重なったときは、耳の後ろに帯状疱疹ができました。痛くて痛くて病院に行ったら、『入院しなさい』と言われ、『仕事があるから』と、薬をもらって仕事場に向かったことも」
仕事の合間、移動中にパソコンでレポートを書いていて、「あと少しで完了」というときにデータが全部消えて、焦ったこともあった。
「急いで書き直してなんとか間に合いましたが、通信制はオンライン提出なので、1分でも遅れたらアウト。『もうダメだ!』と思ったことも数知れずです」
でも、頑張った分、やり遂げたときは達成感もひとしおなのだとか。
「あの満足感はクセになりますよ。また味わいたくて、また頑張れちゃうんです(笑)2052_」