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6月22日はキャスターの小林麻央さん(享年・34)の命日。乳がんで亡くなって、もう1年になる。市川海老蔵(40)と2人の幼い子を置いて旅立っていった彼女は、私たちに何を遺してくれたのか――。本誌では、同じ病いを抱えた女性に、この「1年」を聞いた。

 

■だいたひかる(43)・右乳房全摘

 

「弱音を吐かずに、つねに前を向いていた小林麻央さんのブログを見て『がんばろう』と励まされていました。私もブログをしていましたが、お笑い芸人なので、不安定な気持ちをさらけだして、人を不安にさせてはいけないと、乳がんのことは書けなかったんですよね」

 

こう語るのは、お笑い芸人のだいたひかる。彼女も’16年2月に、乳がんで右乳房の全摘手術を受けている。

 

「しこりが見つかったのは結婚して3年目。旦那は一緒に落ち込む人かと思っていたら、『気持ちで負けるんじゃない』と。じつは気持ちの熱いタイプだという、新しい一面も見られました。肉体的な痛みはいつか消えるけど、精神的なもののほうがツラいと、《大丈夫》と書いた紙を冷蔵庫やタンスに貼ってくれました。たぶん私1人だったらオロオロしていたはず。ポジティブな夫に助けられましたね。入院中は大部屋でしたが、同じ乳がんの人たちから『傷が痛むから、あまり笑わせないで』といわれることも。本名だったから、私が芸人とわからず“おもしろい素人”だと思われていました」

 

ステージ「2b」の手術は無事成功したが、転移が見つかり抗がん剤治療を行うことに。その影響で前髪が抜け始めたが……。

 

「未練があるとウジウジしてしまうから、抜けそうな毛は自分で引き抜いていました。それよりも6カ月ほどして、うぶ毛のような髪の毛が生えてきたのを見た旦那が『地球の始まりみたいだ』と感動。いいものを見せられましたね(笑)。今は、地毛がウイッグよりも長いくらいに生えそろいましたが、白髪染めや手入れが面倒なので、原宿で買った5,000円のウイッグを愛用しています」

 

と、プラス思考で、がんとともに生きている。そこに至るまでには大きな覚悟があったという。

 

「がんというと真っ先に死をイメージします。でも、人は必ず死にますよね。だったら、残された期間をなんとなく過ごすのではなく、内容を濃くしたいと思うようになりました。どんなことも受け止め方次第で楽しみにチェンジできる。だから、すべて“すり替え”で。胸は再建手術をしていないので、下着の片方にはぽっかりした空間が。そこにハンドタオルを丸めて入れています。この前、神社にいって手を清めた後に、サッと出したら、ちょっと温もりもあって(笑)。胸ポケットとして、とっても重宝しています」

 

再発転移に注意を払い、運動を心がけたりしているというだいた。これからは、麻央さんのブログに自分が励まされたように、乳がんで闘病している人を、お笑い芸人として勇気づけたいという。

 

「がんは、うつになる人が多いやっかいな病気。私も手術後、腕が一生上がらないのか、と絶望的になっていました。でも、2週間もすれば、いつ襲われても殴り返せるぐらいまで腕は上がるんです(笑)。そんなことを発信するだけでも、誰かの励ましになると信じています。闘病してみて、“笑い”が体に本当にいいことを再確認しました。不安なときこそ笑いが必要。免疫力も上がります。同じ時間を過ごすなら落ち込むより、笑うほうが人生は楽しい。そんなお手伝いができたらいいな。実は“乳がんあるある”のネタも集めているんです。いつの日か、がん患者を集めて披露したいと思っています」

 

人間として深みが増したというだいたのこれからに期待だ。

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