子ども用マスクは数が少なく割高。足りない子たちのために、林家たい平が立ち上がった! ミシンでマスク製作スタート。まずは3日で50枚。いまや100枚以上!
「『笑点』の大喜利も、とうとう先日17日の放送からリモート出演になりました。楽屋も、ずっと一緒でワイワイやってたんですが、多くの出演者がおじいちゃんばかりだから(笑)、感染には余計に気をつけなくちゃいけなくて、今は個室に。僕自身、落語会やテレビなどの収録も、のきなみキャンセルです。とはいえ、世界中が耐えているときですからね。僕もステイホームの生活のなかで、自分なりに何かできることはないかと考えたとき、マスクだったんです」
“アベノマスク”も届かない、ドラッグストアなどでも相変わらずの品薄状態など、日本中がコロナ禍でのマスク不足に困窮するなか、落語家の林家たい平(55)が手作りする子ども用マスク、その名も“タイヘーマスクJr.”が、各地に笑顔を巻き起こしている。
そもそものきっかけは、日常の光景にあったという。
「街を歩いていて、大人はマスクをしているのに、子どもがしていないことが多いのに気付いたんです。調べたら、子ども用マスクは絶対数が少ないうえに割高だったり。だったら、自分で作って配ろうと。実は僕、仕立屋の息子なんです。両親が『たじか洋服店』というテーラーをやってました。幼いときからミシンは遊び道具で、端切れをもらっては、見よう見まねで小物を縫ったりしていたんです。親父が生きていたら、母親が元気だったら、きっと、同じことをしただろうなと思って」
反響は、想像以上だった。
「石巻の知り合いなどからは、マスクをした親子の写真入りでお礼状が届いたり。あと、85歳になる母は秩父の介護施設に入っていますが、やはりコロナ騒動で、会えない状態が続いています。入所者やスタッフの方たちに、せめてもの感謝と応援の気持ちでマスクをお送りしたら、とても喜んでいただけました。亡くなった父は、きっと天国で『さすがオレの息子だ』と喜んでくれているんじゃないですかね」
長い自粛生活は、人気落語家であるたい平さん自身の日常にも、大きな変化をもたらした。4月21日に、“天下たい平チャンネル”としてユーチューバー・デビューを果たしたのも、その一つ。
「僕自身、家の中に閉じこもっていて、うつうつとするなかで、改めて笑いの大切さを知りました。家族と話をするなかで、ユーチューブなら、ときには落語も配信できるんじゃないかと。これまでは子どもたちも父親の仕事には立ち入りませんでしたが、動画配信となると僕にはできないことのほうが多くてね。そんなとき高3の次男が手伝ってくれたり、大学生の娘がアイデアを出してくれたり。いつか、家族が一つにまとまっていました」
タイヘーマスクは、今も時間を見つけては作り続けている。
「ミシンを何度も修理しながら、頑張ってます。少しずつ腕前も上がってきていて、当初は1枚の手ぬぐいから4枚だったのが、今では5枚作れるようになりました。それに、こんなに長く家族と一緒にいることって、ないじゃない。いつか平穏な日々に戻ったとき、いろんな家族の思い出とともにふり返られるならうれしいですね」
「女性自身」2020年6月2日号 掲載