「ステイホームで家族と向き合わざるをえない状況となった今。はて、自分はいかがなものだろうと考えるきっかけになる映画だと思います」
そう語るのは、雫井脩介原作の同名小説を映像化した映画『望み』(10月9日公開)で監督を務めた堤幸彦(64)。本作は、息子が殺人事件への関与を疑われるなか、それぞれに“望み”を抱く家族に焦点を当てた物語だ。
「事件によって、家族の本質が露呈していくんですけど。とくに、母・貴代美役の石田ゆり子さん(51)は、あの家にいそうだよねっていう(笑)。ママ会とかにいるよな、みたいな。貴代美は誰もがうらやむような環境にいながら、華美なケバさはないわけですよ。そんな母親像を、石田さんは、ほんとにうまく切なく演じてくれました」
息子・規士を演じた岡田健史(21)の演技にも驚かされた。
「いやぁ、もう目力すごいですしね! 今まで向き合ったことがない、芯の強さを感じました。言葉数や表現力の多さではなく、黙っていても伝わってくるというか。大物の予感みたいなのはすごく感じました」
「女性自身」2020年10月20日号 掲載