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’20年はコロナで明けて、コロナで暮れる、まことに暗い1年になってしまいました。私がいちばん残念に思うのは、コロナで人が集まれないために、法話の会ができなくなったことです。立派な会場でする講演会と違って、ここでは本音の法話ができるし、来てくださった人々もざっくばらんに相談してくれます。

 

寂庵で皆さんと会って、お互いの顔を見ながら一人ひとりの悩みを聞いているうちに、今の社会が見えてくる。次に何を話そうか、あるいは何を書こうかというアイデアやエネルギーも、人と話すうちに湧いてくるのです。人は顔を合わせないと、慰め合うこともできません。コロナのせいで人と会えなくなったのは、非常につらい、寂しいことでしたね。

 

その寂しさを救ってくれたのは、私の66歳年下の秘書・瀬尾まなほが産んだ赤ちゃんでした。その赤ちゃんが本当にかわいい。もちろん私の孫ではないのですけど、かわいい子がそばにいるだけで、気持ちが明るくなります。

 

まなほの赤ちゃんと廊下に寝転んで遊んでいると、自分が子どもにかえったような気持ちになる。そのおかげなのでしょうか。年が明けると私は数えの100歳になるのに、自分ではその実感がまったくない。もっとおばあさんになってヨボヨボになるかなと思ったらそうでもないのです。いつも若い人といっしょにいることが、私の元気と長寿の秘訣かもしれません。

 

長寿の秘訣といえば、今から400年ほど前、徳川家康に長寿法を尋ねられた天台宗の天海僧正は、こう教えていらっしゃいます。

 

気は長く つとめは堅く
色うすく 食細うして
心広かれ

 

今も昔も、短気は短命のもとなのですね。

 

「気を長くしてゆったりとした心を持ち、自分の仕事はなまけないでしっかり勤め、色ごとはほどほどにして、大食しないように。心は常に広く持ち、何かにつけ、かっかと怒らないようにしなさい」

 

という意味です。あまり面白味のない生活になりそうですけど(笑)、皆さんも天海僧正の教えどおりになさると、もっともっと長生きできると思います。

 

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