住んでいた場所は違っても、年齢が近ければ「そうそう! わかる」って盛り上がれるのが、のめり込んだアーティストの話。各界で活躍する同世代の女性と一緒に、“あのころ”を振り返ってみましょう――。
「かなり有名な人もいるので、メンバーは明かせないんですが、私、『尾崎会』というものに入っていて、LINEのグループで毎日のようにやりとりしたり、コロナ禍前には月1回くらいのペースで食事会をしたり、命日にも集まったりしていたんです」
そう語るのは、王理恵さん(51)。これほどの尾崎豊ファンとなったのには、幼いころから“世界のホームラン王・王貞治氏の娘”として、特殊な環境に育ったことが関係しているという。
「私は父が30歳のときの子で、私が小学5年生のころまで、父は現役選手として活躍していました。父は、私が学校に行った後に起き、寝た後に帰ってくる生活。夏休みもシーズン真っ最中だし、キャンプや遠征もあるので、父親と一緒の時間を過ごした記憶も、家族旅行の思い出も、私にはほとんどありません」
父親を見るのは、テレビで野球観戦するときの、画面越しのユニホーム姿だった。
「野球の試合時間は長いじゃないですか。だからずっとは見ていられなくて、4~5回まわってくる父の打席のときだけ、姉妹3人でテレビの前に正座して応援していました。見たくて見るというよりも、母に見させられていたというのが正直なところです。当時、おもちゃメーカーが協賛している賞があって、ホームランを打つと父がおもちゃを持ち帰ってくれたんですが、それが楽しみだったくらい(笑)」