■姉妹でも同担拒否!推すアイドルは、姉から順番に決めていた
プロ野球はナイターが中心だったことも、理恵さんが不満だった原因の1つ。土曜の夜の『8時だョ!全員集合』(’69~’85年・TBS系)が見られないからだ。
「“全員集合”は週明けの学校での話題の中心になるのに、私は試合が台風などで中止のときか、シーズンオフの冬しか見られなかった。それが小学校時代、いちばん嫌だったこと。その反動でいま、CS放送などで再放送があると、必ず見てしまうんです」
『ザ・ベストテン』(’78~’89年・TBS系)のような歌番組も大好きで、試合のない月曜に放送されていた『ザ・トップテン』(’81~’86年・日本テレビ系)は毎週欠かさなかったという。
「必ず姉妹3人そろって、見ていました。ただ、好きなアイドルが重ならないように、姉から優先というルールがあって、たのきんトリオがはやったときは、姉がトシちゃん、私はマッチで、妹はヨッちゃんしか選べませんでした。ピンク・レディーのときは、妹は誰のファンにもなれず、ちょっとかわいそうなことをしてしまったと反省しています(笑)」
そんな三姉妹の、父親とのいちばんの思い出は、夏休みに映画を見に行ったこと。
「父の引退(’80年)後のことでした。突然、『映画に行こうか、何を見たい?』と言ってくれたんです。なぜそうなったのかわからないのですが、そんなこと初めてで、かつその一度きりで……」
貴重な申し出を有益なものにするべく、姉妹で話し合って決めた映画が『セーラー服と機関銃』(’81年)だった。
「渋谷の映画館に行きました。父はじっと座っているのが苦手な人だから、2時間も映画を見るのはかなりつらかったと思います。しかも、ちょっと過激な内容じゃないですか。子ども心に“この映画でよかったのかな”と思いつつ、私としてはスカッと爽快感が得られて楽しかったです」
映画のあと、電器店に行き、8トラックのカラオケ機材を購入。
「父がテレビで渡哲也さんの『くちなしの花』(’73年)を歌う企画があったようで、その練習のためだったと思います。映画にカラオケと、子どもにとっては夢のような一日でした」