■会話で蛭子さんの心を解きほぐす!
いよいよ蛭子さんに臨床美術にチャレンジしてもらう日が来た。
「今日は絵を教えていただこうと思ってやってきました」
臨床美術士の大倉葉子さんは、蛭子さんにこう語りかけた。
初対面の人の前ではいつも表情が硬くなる蛭子さんの目元が少しゆるんだ。
「蛭子さんの本を3冊読ませてもらいました。好きなものも知っています。カレーライスにラーメンですね」と語る大倉さんに、蛭子さんは「そうですね」と笑顔を見せる。
「私は蛭子さんの描く人の顔が好きなんですよ。見る人によって悲しそうにも、うれしそうにも見えますよね。どうやって描くんですか?」と、大倉さんは紙とペンを取り出した。
脳を活性化させる「臨床美術」だが、まずは蛭子さんの心を開いていくコミュニケーションが重要のようだ。
「どうやったかな……」と、頭をかきながら蛭子さんが自らペンを手にした! 知らない人の前だとモジモジして何事も出だしが遅くなる蛭子さんだが大倉さんとの自然な会話で心がほぐれたのか、スムーズにペンを動かした。