■「老いていくこと」は体感しないとわからない
50代は体力も活力もあり、世間的にもまだまだ現役なので怖いものなしです。友人たちと集まっても「一人でよかったよね」「最高」なんて盛り上がる。一方で、結婚している友人の子どもが大きくなって、家族を持つ喜びのようなものが見えてきて、自分には何かが欠けていると感じるようにもなりました。60代になると、少しずつ仕事が減ってきます。すると、支えてくれるものがないことに初めて気づく。まるで隙間風が通るように、たった一人のさみしさを体感しました。
さらに70代は70代の体になります。見かけは関係ないので、「いつまでも若いですね」なんていう慰めもまったく耳に入りません。自分の体に「老い」を見つけて、年をとったと実感するたびに、さみしさを感じていく。「本当のさみしさ」は老いてからくるんです。
だから若い人たちに言いたいのは、そのままで十分にすてきなんだから、もっと自信を持ってやりたいことをやったらいいってことですね。自分なりの目標を持って楽しむことも大事。それが自分を支えてくれる活力につながります。
そしてもうひとつ大切なのが、今のうちからパートナー候補を見つけておくことです。結婚や恋愛をしなくてもいいから、いい距離感で過ごせるような、人と人として付き合えるような関係がいい。私も60代くらいから探しておけばよかったなって思っています。
周囲を見ると、いい関係を築いている人たちは、学生時代や昔の職場で知り合ったとか、長く付き合っていることが多いです。結婚していても独り身になることがありますし、好みも変わるかもしれません。誰がパートナー候補になるかわからないものですよ。
ただ、やっぱり自立していることは大事。そうでないと、どこかで相手に頼りすぎてしまう。相手と同じように自分も食べられるっていうことが、いいお付き合いのポイントになると思います。
■「好き」を見つければ何歳になっても幸せ
これまで生きてきてわかったのは、何を選ぼうが“もやもや”するのが人生ということ。一人でも、結婚していても「これでいいのかしら」と思うことがあるんです。それで、結婚して一人を手放しても、離婚して結婚を手放しても、結局もやもやする。人生には選択がつきもので、私はいまも自分の人生をどう締めくくるか迷っているところです。ただ、どんな選択をするにしても、目標やパートナー、なんでもいいので、好きなことが見つかっている人は何歳になっても幸せだと思います。
一人でいることの自由には、楽しさや気楽さとともに、孤独やさみしさも含まれています。この自由をまるっと愛していくしかなくて、持て余してしまうなら一人でいないほうがいい。一人の人は一人なんだから、その自由を思い切り満喫するしかありません!