■以前は白い灰のようになったことも……
大下さんの1日は、毎朝、夜明けごろに出社して、新聞10紙(一般紙、スポーツ紙)をチェックすることからはじまる。
その後も、番組スタッフ、出演者らと行う全体ミーティングの時間まで、その日に扱うニュースの資料確認や準備など、休憩する暇がないほど時間に追われる。
本番の数時間前から緊張状態が続くこんな毎日では、さすがに体力的、精神的にも、かなりキツいのでは?
「以前は金曜日が終わると、『あしたのジョー』ではありませんが、白い灰のようになったことも(笑)。
家に帰ったら、服も着替えずに、そのままベッドの上で夜中まで起き上がれなくなったり……。
でも不思議なもので、人間の体って、毎日2時間35分の生放送にも対応できるようになってくるんです。コロナ禍の最中は、ほとんど家と会社を往復するだけの生活でしたが、いまは、翌日早起きしなくていい金曜日の夜は、できるだけ友人と会ったり、異業種の方たちと食事をしたりする時間を作れるようになりました。
そこでいろんな人たちのお話を聞いて、自分自身の狭い視野を広げるようにしています」
つい最近も、異業種が集まる会合で、初めて気づかされたことがあったという。
「皆さんと会話をしながら、私も仕事の難しさや、自分の至らない点、“もっとこうすべきなのかもしれない”といったような話をしました。するとその中にいた女性の方から、“あなた、なんだかんだ言ってるけど、今の仕事が好きなんでしょ!”と、ズバッと指摘されたんです。
これまであまり意識したこともなかったのですが、そう言われた瞬間、“これだけ必死にやってるってことは、この仕事が好きなのかも……”と、思いました(笑)」
もちろん、体力維持のための努力も怠ってはいない。週末のウオーキングをはじめ、退社後は必ずスポーツジムで汗を流すことが、大下さんのルーティンだ。
「30代のころは、ジムで40分ぐらいガンガン走っていましたが、40代を過ぎたあたりから、体力がガクンと落ちて、10分も走れなくなりました(笑)。いまはもう無理をしないように、ストレッチや体幹を鍛える軽めのトレーニングを中心にやっています。
ただ、仕事で疲れたときは、“今日は行きたくないな?”という日もあります。でも、そう思ってもジムには行くようにしています。
ずっとトレーニングを続けていると、小さな達成感というか、“今日も1日やり切ったぞ!”と、自分自身が安心できるんです」