■「アナウンサーとしての正解」にとらわれ、思い悩んだ日々
2021年春にMCに就任したものの、最初の数カ月間は「難しさ」や「正解のなさ」に直面し、試行錯誤の連続となる。
「担当する前は、出演者の皆さんがスタジオで本当に自由に、その場のアドリブでバンバン鋭く意見を交わしているイメージでした。
でも実際に中に入ってみると、ディレクターなど制作陣が何カ月も前から取材し丁寧に構成を練り、しっかりとした台本が用意されている。台本から外れることがあっても、それは制作陣の思いや意図を汲んだうえでの展開なのだと理解しました。
そこで今度は、『じゃあ、その中でアナウンサーである私は何をすべきなのか』という壁にぶつかったんです」
報道の現場では、一つのコメントを発するのにも、先輩やスタッフと熟考しながら準備していくのが当たり前であった。
しかし『あさイチ』では、制作陣から「鈴木さんが日々感じていることや、実際の体験、思ったことを放送中にどんどん言葉にしてください」と求められる。
「NHKのアナウンサーが自身の経験や生活実感を言葉にするというイメージがそれまでなかったので、すごく戸惑いました。『私が自分の個人的な話をすることが、見ている視聴者の皆さんにとって何のメリットがあるんだろう?』と、その意味が分からなくて深く悩んでしまったんです」
