映画『グリーンマイル』(1999)で奇跡を起こす心優しい囚人役を演じ、2000年のアカデミー助演男優賞にノミネートされた俳優マイケル・クラーク・ダンカンが米国時間3日に亡くなった。54歳だった。

ダンカンは今年7月に心筋梗塞を起こし、婚約者のオマローサ(Omarosa Manigault)が心肺蘇生を行ってダンカンは一命を取り留めた。しかし心臓は完治せず、ロサンゼルスの病院に入院していた。容態は安定していたが、9月3日朝、オマローサが病室を少し空け、戻ってきたときにはダンカンの息はもうなかったという。オマローサはリアリティ・ショー『アプレンティス』の出場者で、不動産王ドナルド・トランプも認めるビジネス手腕を発揮して一躍スターとなった女性。

image

2000年の第72回アカデミー賞授賞式で夢だったレッドカーペットを踏みしめたマイケル・クラーク・ダンカン (C)A.M.P.A.S

<a href=”http://edition.cnn.com/” target=”blank”>CNN</a>がダンカンの一生を振り返る特集を組んでいた。ダンカンは1957年にシカゴで生まれ、貧しい母子家庭で育った。アルコーン州立大学に進学するも、母が病に倒れたために中退し、ガス会社の労働者やクラブの用心棒として働いて家族を支えた。ダンカンは幼少時からずっと演技の仕事に憧れを抱いており、その夢についてしばしば語っていたそうで、ガス会社の同僚は彼を「ハリウッド」と呼んでいたという。

1990年、そのあだ名を現実のものにするべく、ロサンゼルスに引っ越す。196cm、142kgという巨体を生かし、『Back in Business』(1997)でのボディガード役や『A Night at the Roxbury』(1998)での用心棒役など、端役ではあるが俳優としてのキャリアを積み上げていった。

1998年に転機が訪れる。親交のあったブルース・ウィリスの口利きで大作『アルマゲドン』でジャイティス・カーリーン(ベアー)役を獲得したのだ。そして『グリーンマイル』の監督フランク・ダラボンにダンカンを紹介したのもウィリスだった。

人を癒やす奇跡の力を持ち、心優しくも哀しい運命を背負った囚人、ジョン・コフィーを演じたダンカンは高い評価を受け、アカデミー助演男優賞にノミネートされる。「ハリウッド」というあだ名に追いついた瞬間だった。

その後もコンスタントに映画、テレビに出演、独特の低い声も重宝され、アニメーション映画やゲームの声優も数多く務めた。まだ54歳。年を重ねるごとに深みを増すダンカンの演技がもう見られなくなってしまったことは痛恨の極みだ。

ハリウッドの仲間達も突然の悲報に驚きと落胆を隠せない。

『グリーンマイル』で共演したトム・ハンクスは「”ビッグ・マイク”を失い、悲しみにうちひしがれている。彼は『グリーンマイル』の宝だった。魔法だった。大きな愛だった。突然の死に、ただただ呆然としている」との声明を発表した。コメディアンのトミー・デヴィッドソンも「最も優しい巨人よ、どうか安らかに眠れ。僕の親友、マイケル」と友を悼むコメントを出した。

現在Twitterも世界中のファンからの追悼の声「R.I.P(Rest In Peace:安らかにお眠り下さい)」で溢れている。

関連カテゴリー: