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ヒラリー・クリントン前国務長官が、”対ブッシュ流”の洗礼を受けた。
米国時間10日、ラスヴェガスのマンダレイベイホテルでスクラップ・リサイクル業協会の会合に出席し、スピーチを行っていた最中、会場内にいたブロンド女性から靴を投げつけられたのだ。クリントン氏はすぐさま「誰かが私にモノを投げたの? ここってシルク・ドゥ・ソレイユだったかしら」とジョークを飛ばし、騒然とする会場の雰囲気をやわらげた。女性はただちに連行され、現在拘留されているという。
リサイクル業協会のスポークスマンによると、この女性は協会のメンバーではなく、出席者としてリストアップされてもいない部外者であったとコメントした。
その後、「なんてことかしら。廃棄物の管理がここまで論争の的になるなんて知らなかったわ! 彼女が私みたいにソフトボールをやってなくてよかった!」とあくまで冗談めかして感想を述べたクリントン氏。それもそのはず、いくら屈辱的だとしても笑いに転化するしかないだろう。今回のことで誰もが、ジョージ・W・ブッシュ前大統領の靴投げ事件を想起したはずだ。任期満了後の2008年12月、イラクでの会見中にテレビ局記者ムンタザル・アル=ザイディからと左右両方の靴を投げつけられたあの事件以後、靴投げは抗議の意志を伝えるアクションとして定着した。2016年の大統領選への出馬を”思案中”であるクリントン氏にとって、希代の暗愚として世界的に評判の悪いブッシュ元大統領と同じ辱めを受けたとあっては、イメージ低下は免れない。自分自身ではなく、スピーチの内容に対する抗議だと印象付ける作戦と見られる。
ザイディは米国のイラク侵攻に対する抗議の意を込めて靴を投げた。禁固3年の刑を言い渡されるも、減刑により約5か月で出所。イラクの英雄としてもてはやされたが、今回の女性の意図は一体どのようなものだったのだろうか。