The New York Times
かつて、ただの石を売り巨万の富を築いた男がいた。その名はゲイリー・ダール。「ペット・ロック」の発案者、と聞けば膝を叩く人もいるかもしれない。彼が3月23日、78歳で死去していたことがわかった。
ダールは「ペットを飼うには手間も金もかかる」という友人の不平をヒントに、石をペットとしてかわいがる「ペット・ロック」を発案。メキシコのビーチで拾った卵型の石に、通気口のあいたキャリーケース、寝床となる布とワラ、そして血統書とマニュアルをセットにして4ドルで売り出したところ爆発的にヒット。1975年のクリスマスには小売店を席巻した。ブームはあっという間に下火となり、翌年2月には販売停止となったが、ダールはわずか半年で数千万ドルを荒稼ぎしていた。
当時のPEOPLE誌のインタビューに対し、ダールは「今、人々はあらゆることに退屈し、飽きているんだ。これはそんな人たちを空想旅行に連れて行くための装置なのさ」と語っている。
ニューヨーク・タイムズの死亡記事によると、ダールはペット・ロックで得た利益を元手に酒場と帆船仲介業を営んでいたという。