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80年代にわずか3年間だけ活動した女性ボーカルユニット「Vanity 6」でメインボーカルを務めたヴァニティことデニス・マシューズが15日に死去した。
Vanity6はプリンスのビジョンを忠実に具現化したユニットだった。プリンスはバーブラ・ストライサンド主演の『スター誕生』を観て感銘を受け、下着姿でセックスとファンタジーをテーマとした官能的な歌を歌う女性グループをプロデュースしたいと考えていた。そんな折に出会ったのが、B級映画で細々と女優活動を行っていたヌードモデル、デニス・マシューズだった。二人は出会って間もなく恋に落ちた。
プリンスはマシューズを構想中のVanity 6のメインに据え、「ヴァギナ」というステージネームを使うことを提案。しかしマシューズはこれを却下し、ヴァニティと名乗り始めた。そしてVanity 6は1981年にプリンスの全面バックアップを受けてデビュー。1982年にリリースしたセカンドシングル「Nasty Girl」が大ヒットし、ビルボード・ダンスチャートで1位を記録した。
1984年にVanity 6は解散、マシューズはモータウン・レコードと契約しソロに転向する。女優としての活動も再開させ、ミュージカル格闘映画『The Last Dragon』に主演。1986年には『ネバー・トゥー・ヤング』ではジョン・ステイモスの相手役を務めるなど順調にキャリアを積み上げていたが、私生活では当時交際していたロッカーの影響で薬物に溺れ、深刻な依存症に陥っていた。2010年に自費出版した自伝の中で、マシューズは1994年にコカインの過剰摂取で重い腎不全を患い、腎臓移植を受けた後にキリスト教の伝道者となったことを告白している。
摂取を絶っても、薬物の体への影響は甚大だった。マシューズはその後、死ぬまで腎臓関連の病気に苦しみ続け、昨年末には治療費を捻出するためにクラウドファンディングで5万ドルの寄付を募っていた。集まった金額は6,000ドル少々。治療叶わず、マシューズは腎不全でこの世を去った。57歳だった。