写真:REX FEATURES/アフロ
米音楽界最大の祭典であるグラミー賞授賞式では、賞レースの行方は言うに及ばず、出席者の装いにも大いに注目が集まる。年に一度の晴れ舞台とあって、アーティストたちは多額の費用をかけてドレスを発注し、自分らしさを演出することに腐心する。第59回となる今年はビヨンセがステージで着用した女神のようなドレスや、ジバンシィがアデルのために誂えたグリーンのオートクチュールドレスの評判が高かった。
男性の場合は、女性と比べてファッションが話題となることはそれほど多くない。しかし、精一杯のおしゃれで話題をさらったラッパーがいる。リル・ヨッティだ。2015年に登場したヒップホップ界の新星、ヨッティはビーズに通した真っ赤な三つ編みヘアがトレードマーク。米国時間12日夜の受賞式では真っ白なジャケットと黒いリボンタイに、レッドヘアがよく映えていた。観衆の度肝が抜かれたのは、彼が口を開けた時だった。そこにはマーブルチョコレートのようにカラフルな歯が並んでいた。
これは、ヨッティが地元アトランタのジュエリーブランド「Icebox Diamonds & Watches」に特注したグリル(歯に装着するアクセサリー)。7日にヨッティが「力強い個性にマッチしたグリルを作ってほしい」とコンタクトを取ってきたという。ダイヤモンド、ルビー、サファイア、イエローダイアモンドなど、すべての歯に本物の宝石が使われており、その値段は35,000ドル(約398万円)にも上るという。
昨年3月にリリースしたデビューミックステープ「Lil Boat」はヒップホップミュージックのダウンロードサービス「Spinrilla」で38万回、Spotifyで11万回ダウンロードされたほか、100万回以上も再生されている。また、最優秀新人賞、最優秀ラップアルバム賞の二冠を達成したチャンス・ザ・ラッパーのミックステープにもフューチャーされ、今後の飛躍が約束されていると言っても過言ではない若手有望株なのだ。
ヨッティは今年のグラミー賞では最優秀ラップ/サング・コラボレーション賞にノミネート。惜しくも受賞は逃したが、その独特のファッションでしっかりと爪痕を残した。