戦時下のウクライナで風刺の効いたアートを7点も壁に描き、話題をさらったばかりのアーティスト、バンクシー。次は衣料品ブランド「GUESS」を標的と定めたようだ。
バンクシーは19日までにInstagramに「全ての万引き犯、注目」と題し、ロンドン市内にあるGUESSの店舗の外観を投稿。「リージェント通りのGUESSに行ってほしい。彼らは私の作品を無断で使用した。同じことを自分たちがされても、間違っていると言えるだろうか」とメッセージを出した。
米国のアパレルブランドGUESSは、バンクシーのグラフィティを使用した新しいコレクションを発表したばかりだった。
同社は、バンクシーのデザインの使用ライセンスを管理するBrandalisedと共同で制作したコレクションだとしており、チーフ・クリエイティブ・オフィサーのポール・マシアーノは「バンクシーの作品はポピュラーカルチャー全体に共鳴する驚異的な影響力を持っています。この、Brandalisedとの新たなカプセルコレクションは、ファッションが感謝の気持ちを表す1つの方法なのです」と発表前に述べていた。
著作権に詳しいリズ・ワード弁護士は英BBCの取材に対し、「GUESSはバンクシーのアートワークを第三者であるBrandalisedを通じて合法的に入手しているので、彼らはそれを商品化する権利を持っています。バンクシーがこの取引を許可、もしくは知っていたかどうかはわかりません」とコメントした。
著作権に問題はなさそうに見えるが、アーティスト本人が「許可していない」と主張したことで、様々な可能性が浮上してきた。Brandalisedの独断、もしくはバンクシーとの契約が既に切れていた場合ならば、バンクシー流のゲリラ的な宣伝活動である可能性も除外できないという。前出のワード氏は、BBCの取材に対して次のように語った。
「バンクシーは、BrandalisedやGUESSに対し、著作権が侵害されていると訴えるべきですが、彼もしくは彼女(バンクシーは性別不明)が匿名性を望むのであれば、それは難しいかもしれません」
またワード氏は、著作権侵害はアーティストに深刻なダメージを与える重大な罪であることは事実だが、「ことの是非はともかく、万引きを助長する言動は間違っています」とも述べている。
名指しされたGUESSの店舗は、入り口を封鎖し、窓をすべて覆って沈黙を続けている。