23日、ロシア・モスクワ北部でプライベートジェットが墜落し、乗客乗員10名全員が死亡した。航空会社は乗客名簿に、民間軍事会社ワグネルのエフゲニー・プリゴジン氏の名前があったことを明かし、その後ワグネル関係者により同氏の遺体が確認された。飛行機は撃墜された可能性が高いという。AP通信などが報じている。
AP通信などによると、プリゴジン氏率いるワグネルは6月23日、ロシア軍の指導部に反旗を翻し、モスクワへ向けて進軍を開始していた。翌24日朝にはロストフ・ナ・ドヌの軍事拠点を占拠したが、モスクワまで200キロメートルまで迫った同日夜に反転、撤収し、“反乱”は失敗に終わった。プーチン大統領はワグネルの行動に対し「国民を背後から刺す裏切りだ」と強く非難。失脚後のプリゴジン氏はルカシェンコ大統領の取りなしで隣国ベラルーシに移動し、7月にはプーチン大統領との会談に臨んでいたという。
7月に米コロラド州で開かれたアスペン安全保障フォーラムに出席したCIAのウィリアム・バーンズ長官は、NPRのインタビューで「プーチンがプリゴジンをこのままにしておくはずがない」と発言していた。
「プーチンは今、明かに時間稼ぎをしていますね。プリゴジンをワグネルから切り離そうとしているのです。プーチンは、『復讐の皿は冷めてから供されるのがいちばん美味い』と考える人間です。必ず決着をつけようとするでしょう。私の経験からいって、プーチンは究極の“報復の使徒“です。プリゴジンがこのまま逃げられるとはとても思えない」
プリゴジン氏の乗っていた飛行機は、高度8500メートルを飛行中に突如墜落し、爆発、炎上したという。飛行機に向けてミサイルが発射された痕跡が見られるとの報道もあるが、詳しいことはまだわかっていない。
BBCによると飛行機が墜落した時間、プーチン大統領はロシア西部のクルスクで、ナチス・ドイツに対するソ連の戦勝80周年を祝う式典に出席して演説を行っていたという。