昨年秋ごろから、世界中でトコジラミ(南京虫)の大量発生が相次いでいる。宿泊施設で荷物に紛れ込んだり、宅配便で届いたダンボールに潜んでいたりと、家の中に招き入れてしまうケースが後を絶たないという。そんな中、英国でトコジラミに起因する悲劇が起こった。
ロンドンの集合住宅で23年12月、11歳のファティハ・サブリンさんが心停止し、そのまま亡くなったとTimes紙が報じた。階下に住むジェスミン・アクター被告(33)がトコジラミを駆除するため違法に輸入した薬物を使用したことで有毒なガスが発生し、サブリンさんはそのガスで窒息してしまったのだという。
Times紙によると、アクター被告はイタリアからリン化アルミニウムを違法に個人輸入。リン化アルミニウムは空気中の湿気を吸収すると殺虫効果の高いリン化水素ガス(ホスフィン)を発生させる。このガスが階上まで蔓延し、サブリンさんの命を奪ったという。
英国害虫駆除協会(BPCA)はプレスリリースで、アクター被告が使用したリン化アルミニウムは、推奨使用量の3倍だったことを公表した。
アクター被告は規制薬物輸入と過失致死の罪で逮捕、起訴されたが、今月12日にオールド・ベイリーで開かれた審問で無罪を主張。裁判は7月1日から3週間行われる予定だ。