韓国でミュージカルを見る楽しみ。これからの超注目作はキム・ドンワンの『ヘドウィグ』!
ジュンスの『モーツァルト』から始まって、『宮』には東方神起のユンホ出演と、日本ファンにも韓国ミュージカルが身近になってきました。5月には翻訳ミュージカルの名作『ヘドウィグ』に神話のキム・ドンワンが出演。ファンには必見の舞台です。
韓国ミュージカル初体験! YBのユン・ドヒョン、BEASTヤン・ヨソプが出演する『光化門恋歌』を見てきました
先日、ソウルの世宗文化会館大劇場で『光化門恋歌』というオリジナルミュージカルを見ました。
韓国のミュージカルには海外翻訳ミュージカルとオリジナルがあり、オリジナルでは現在、漫画やドラマを元にした作品が流行中。『宮~Love in Palace~』をはじめ『私の名前はキム・サムスン』『善徳女王』までミュージカル化されています。
しかしこの『光化門恋歌』はまったくの創作ミュージカル。1980年代に韓国で大ヒットメーカーだった作曲家、故イ・ヨンフン氏の曲で構成されています(彼の歌は現在も多くの歌手にカバーされており、中でもBIGBANGの「赤い夕焼け」は有名ですね)。国内創作ミュージカルが初演で、損益分岐点を超える事例はこの『光化門恋歌』が初めて、開幕前にミュージカルの座席有料販売率が84%台に達するほどの良い反応でした。
その理由は、故イ・ヨンフン氏の歌に青春の思い出がある世代が多いことを背景に、キャストにドラマ『黄金の新婦』『神の天秤』『シンデレラマン』『美しき人生』に出演している俳優ソン・チャンウィと、韓国最高のロックバンド、YBのユン・ドヒョン、ドラマ『イルジメ~一枝梅』にも出演したミュージカル界の新鋭キム・ムヨル、そしてBEASTのヤン・ヨソプが名を連ねたこと。
私は、ユン・ドヒョン氏とヤン・ヨソプ君目当てで見たのですが、これがものすごく面白かったのです! 同時代の共感と郷愁をそそる“韓国ドメスティック”な演目を面白いと感じるのだろうか? と当初思っていたのですが、音楽の素晴らしさと歌の上手さはそんなことを越えてしまいますね~~。韓国ミュージカル、相当レベルが高いです。
そして、出演者に人気も実力もあるメンバーを配するなど、魅力的な要素もたっぷり。
ユン・ドヒョンを聴きに来た音楽ファン、歌の上手いアイドルとして有名なヨソプ君のミュージカル初出演を見届けようとする若いファン、故イ・ヨンフン氏の歌に思い入れのある大人のファンなど、普段ミュージカルを見ない層も巻き込んで、カーテンコールでは会場総立ちで「赤い夕焼け」を大合唱したのは壮観でした。
会場の世宗文化会館。重厚な劇場。隣には美術館がある。地下鉄光化門駅すぐそば。
最近はお祝い花に代わり、この「ドリミ」という方法が主流。お米を貧困家庭や災害の被災地に送るもので、今回の日本の地震被災地に送られることになったドリミもありました。出演者のファンが送ったドリミが正面玄関前に並んでいます。
本日のキャストはこのように発表されます。
開演前に。前から12列目でこんな感じ。
憧れのスターが目の前にいる感激! 韓国でミュージカルを見るには・・・
韓国では大小の劇場で本当に多くのミュージカル作品が上演されています。
コンサートではいつも遠くにいるK-POPスター、TVや映画の中でしか見たことのない俳優さんが、目の前に2~3時間いるというのは、コンサートとはまた別の感激があります。
コンサートが開放的なら、お芝居は親密な空間。その中で聴く歌や演技する姿を見るのは最高です。もちろん作品としても素晴らしいものがいっぱい! 是非ソウルでミュージカル体験をしてみてください。
じゃ、チケットはどうするの? という方、韓国にはインターパーク(http://ticket.interpark.com/)という大きなチケットサイト(韓国語)があり、ほとんどの演目を扱っています。でも残念ながら韓国の住民登録番号が必要なので、日本人は購入することができません。韓国に知り合いのいる方は頼んで買ってもらうのがいいでしょう。ツテがない方は各旅行社でミュージカルチケット購入代行をしてくれるところを探してみてください。ツアーになっている場合もありますし、チケットだけ購入してくれる場合もあります。また、ソウル市観光公式サイト(日本語もあり)では、インターパーク扱いのチケットの一部を購入できる場合があります。
(http://www.visitseoul.net/jp/subindex.do?_method=event&m=0002000001006&p=06)
韓国のミュージカルは主演クラスがダブル(3人4人の時もあり)キャストであるのがほとんどです。自分の見たいキャストの日を必ず確認しましょう。
それから、K-POPのアイドルが出ているという点に重きを置いたミュージカルと、作品性のあるミュージカルにK-POP歌手が抜擢されたのとでは、客層も公演の雰囲気も違います。そこを見極めて会場の雰囲気を壊さないようにするのが、観劇マナーとして注意したい点です。
あのスターもミュージカル出身? K-POP歌手も続々挑戦
韓国のミュージカルを意識するようになったのは、韓国映画『ラブストーリー(原題:クラシック)』(2003)、『マラソン』(2005)、『タチャ イカサマ師』(2006)で有名な俳優チョ・スンウが、ミュージカル俳優だと知ったときです。端正なイメージの彼が有名なミュージカル『ヘドウィグ』(2005、2007)や『ジキルとハイド』(2004、2006日本公演、2010)で主演を務め、『ジキルとハイド』では毎回公演するたびに観客動員数を塗りかえるほどの人気だと知ったときは驚きました。
韓国ドラマを見て「いいな」と思った俳優さんが、ミュージカルの舞台ですでに人気スターだということも多いですね。『波瀾万丈ミスキムの10億作り』のパク・コニョン、『ぶどう畑のあの男』のオ・マンソク、『ありがとうございます』のシン・ソンロク。演技は上手いし、個性的だし、ドラマの中で歌を歌うシーンがあれば、めちゃくちゃ上手いし(もちろんダンスも)。その後、パク・コニョンは『風の国』、オ・マンソクは『王と私』、シン・ソンロクは『お隣さんは元ダンナ』などドラマ出演がひっきりなしですが、もちろんミュージカル公演でも精力的に活動中です。
韓国ミュージカルのビッグバンは前述の『ジキルとハイド』ともう一つ、JYJのジュンスが出演した『モーツァルト』(2010年1月)です。それまでもK-POPの歌手がミュージカルに出演することはありましたが、この作品で今までミュージカルに興味がなかったファンをも取り込み、注目度もアップ。
この勢いは2010年6月に韓国オリジナルミュージカル『宮』(コミック『宮』・ドラマ『宮~Love in Palace』のミュージカル化)に東方神起のユンホが出演すると発表されてから、ますます加速し、その後、今人気のK-POPのアイドルがミュージカルに出演することが、ぐっと増えることになりました。
これから見るなら、神話のキム・ドンワン主演『ヘドウィグ』が超お勧め
さて、これからの超目玉作品はなんといっても神話のキム・ドンワン主演作『ヘドウィグ』!
ミュージカル『ヘドウィグ』は2005年に韓国で初演されて以来、前述のチョ・スンウ、ユン・ドヒョン、ソン・チャンウィ、オ・マンソク、オム・ギジュンも主演してきた翻訳ミュージカル。
原題は『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』、1997年からNYのオフ・ブロードウェイで上演され、映画化もされました。俳優のジョン・キャメロン・ミッチェルと作曲家のスティーブン・トラスクがナイトクラブで登場させたヘドウィグのキャラクターを発展させていき、舞台化に至りました。感情も造形も複雑なトランスジェンダーのこの役は、俳優にとって憧れといえる魅力的なキャラクターです。衣装やメイクが破格であり、また、約2時間をほとんどヘドウィグがメインで舞台を導かなくてはならず、歌と演技の実力がなければ挑戦さえできない、と言われています。BEASTのヤン・ヨソプ君も『光化門恋歌』の取材で「今は無理ですが、いつかヘドウィグをやってみたい」と話していました。
ドンワンさんが『ヘドウィグ』をやると聞いてびっくりしつつも、いやいや、かなりぴったりかも、と思っている方が多いのでは? ドンワンさんは、高校時代にニルヴァーナのコピーバンドをやっていたそうだし、あの衣装とメイクも似合いそうです。美しいヘドウィグになるのではないでしょうか。
演出家のイ・ジナ氏(「光化門恋歌」の演出もイ・ジナ氏でした)はドンワンさんに関して「“大人のヘドウィグ”を見せてくれるでしょう。彼は歌がとても上手です。ダンスグループとして活動しながらも歌唱力に関しては、ミュージカル俳優に劣らない実力を持っています」と語っています。また「韓国上演のヘドウィグはキャストが全般的に若いんです。彼らを使ってヘドウィグが持つ人生の荒波をきちんと見せなくてはいけない、ということが重要です」とも。そういう意味でもドンワンさんの“大人のヘドウィグ”に期待ですね!
「この作品はミュージカル界のトライアスロンのようなところがある」と語るドンワンさんは、役柄のために自慢の(?)筋肉を落とそうとしているそうです。web女性自身に「今、演出家さんと話して少しダイエットをしています(笑)。作品そのもの、そしてヘアメイク、僕の歌や演技すべて期待してくださいね」とメッセージをくれました。
2011年『ヘドウィグ』の主役4名。 左からチェ・ジェウン(주역들)、チョ・ジョンソク(조정석)、キム・ドンワン(김동완)、キム・ジェウク(김재욱)。
すでにドンワンさんの出演回はかなりの勢いでチケットが売れているそうですよ。今は6月12日までのキャストが発表になっていますので、出演日をチェックしてみてください。
インターパーク『ヘドウィグ』ページに掲載されています(韓国語)。
(http://ticket.interpark.com/Ticket/Goods/GoodsInfo.asp?GoodsCode=11002927)
『コーヒープリンス1号店』『悪い男(赤と黒)』で人気のキム・ジェウクもヘドウィグ役にキャスティングされています。あとの二人、チョ・ジョンソクは2006年と2008年に、チェ・ジェウンは2009年にヘドウィグを演じ評判を得ており、まさにオールスターキャストの公演です。見較べるのもミュージカルの醍醐味ですね。
○公演情報
<公演日程>
2011年5月14日(土)~8月21日(日)
<会場>
KT&G サンサンアートホール(地下鉄サムソン駅2番出口)
<制作>
SHOW NOTE, CJ E&M
<出演>
ヘドウィグ 役: キム・ドンワン(김동완)、チェ・ジェウン(주역들)、チョ・ジョンソク(조정석)、キム・ジェウク(김재욱)
イツハク 役: イ・ヨンミ, チョン・ヘソン, チェ・ウリ
アングリーインチバンド: イ・ジュン, キム・ミンギ, チェ・ジェミン, Zakky, ソ・ジェヒョク, チェ・ギホ, カン・ウニ, イ・ジュニ
写真/shownote