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再ブームの予感がする韓国ドラマ。そんな“韓ドラ”の凄ワザを、『定年後の韓国ドラマ』(幻冬舎新書)の著書もある、韓国ドラマを15年間で500作品見た、作家・藤脇邦夫が読み解く!

 

【第11回】『神様がくれた14日間』――歌手の余技とは思えない俳優としての存在感

 

最近のK-POP出身の男優としては、「紳士の品格」(’12年)のCNBULUEのイ・ジョンヒョンのケースがあるが、最初から有望な新人俳優と認識したのは『神様がくれた14日間』(’14年)に主演したB1A4(グループ名はメンバーの血液型から命名)のバロだった。

 

これがとても歌手の余技とは思えない出来で、バロの俳優デビューは『応答せよ1994』(’13年)だが、俳優としての評価を決定付けたのは、やはり、この『神様がくれた14日間』の知的障害者役といっていい。

 

この出演は本人にとってもかなりの英断だったと思われるが、結果的にその決断はプラスに働いた。さらに、この作品での配役はかなり異色で、大体、こういった役柄を演じる自体、かなりのイメージリスクがあるのが当然である。俳優としてまだ経験の浅い歌手がわざわざ演じる必要はないような役柄だ。

 

実際、難しい演技を要求されるシーンが多く、一般の俳優であっても二の足を踏みそうな、そのくらい微妙なジャンルなのだが、バロは、その役を見事に演じ切っている。筆者自身、同様の子どもを持っている親として、この種の描写や、障害者を登場させることについて、いつも特別な関心で接しているつもりだが、この作品に限っては、バロの好演でそれは杞憂だったといえるだろう。もう一人、障害のある人物が容疑者として登場するが、これにも納得できる必然性が用意されている(演じたチョン・ウンピョにも注目)。そのくらい、韓国ドラマにおいては障害者の扱われ方は慎重に、しかも細心の注意を払って真摯な姿勢で製作されていると思う。

 

ストーリー構成上、このバロの役は主人公たちの子どもの年上の友達として、常に一緒にいなければならない設定になっているのだが、その子どもとの2人の関係が微笑ましく、最後は事件の重要な証言を引き出す導火線的な役目も果たすようになるに至っては、このストーリーテリングがかなりの計算ずくの上に成り立っていることがよくわかる。

 

この作品自体、見どころ満載の最近の傑作の一つだが、このバロの演技と存在なくしては、それもかなわなかったと思わせるように作られているところが心憎い。

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