まだ街中に雪が残る、岩手県盛岡市の盛岡市中央公民館では現在、『絵本プロジェクトが贈る絵本原画展』が開催されている(5月12日まで)。
その展示作品88点のうち、なんと47点が“美智子さまご所蔵”という前代未聞の展覧会だ。
主催しているのは盛岡市のボランティア団体『3・11絵本プロジェクトいわて』。同団体は、絵本を全国から集め、被災地の子供たちに届けている。この活動に美智子さまも賛同されており、これまで数回にわたってご自身の絵本を寄贈されたことも話題になった。
代表を務める末盛千枝子さんによれば、
「皇后さまは震災発生後に、『絵本の原画を使って、皆さんがホッとしてくださるようなことに役に立てたらいいのですけれど……』と、お話しくださるようになり、今回の展覧会のために所蔵品をお借りすることになりました」
展覧会の入場料も絵本による支援活動などに充てられるという(中学生以下は無料)。
「皇后さまのご著書『橋をかける』『バーゼルより』の表紙や挿絵に使われた、安野光雅さんが描かれた作品は素晴らしく、また貴重なものです。また谷内こうたさんは、皇太子妃時代から気に入っていらした絵本作家さんです」(末盛さん)
ほかにも展示会場には『白鳥の湖』(リスベート・ツヴェルガー)、『ルピナスさん』(ビネッテ・シュレーダー)、『くまのプーさん』(アーネスト・H・シェパード)など、世界的に有名な作品もずらりと並んでいる。
美智子さまが50年かけて収集された貴重なコレクションだというが、
「皇后さまは、『東日本大震災の記憶が風化しないように』という思いで、お貸しくださったのです。また皇后さまは『被災地の子供たちの心が癒され、豊かになるような作品を届けたい』と、常に考えていらっしゃいます。皇后さまのご所蔵ではないのですが『そらに』(井沢洋二)という絵本も、とても気に入ってくださっていました。この絵本は大切なものを失ってしまった女の子が、やがて空にある宝物をみつける話で、今回の展覧会のテーマにもふさわしいと思います」(末盛さん)